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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[35]５月５日

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今日はこどもの日、端午の節句。

そして土方副長の誕生日でもある。

昨夜、寮内では土方ファンの女子隊士数名が、彼に渡すプレゼントを何にするかと深夜まで相談し合っていた。

早く寝かせないと翌日の仕事に差し支えるので、

｢マヨネーズをダースでやっとけ。
彼にとってそれ以上のプレゼントは無い。｣

とアドバイスし、床に就かせた。

そして今朝。
私の助言通り、女子隊士達は仕事の合間を縫ってスーパーでマヨネーズを箱買いして来たらしい。

彼女らは副長室の前で顔を紅潮させながら、襖をノックした。

只今私山田華蓮は、女子隊長室の襖の陰から中継しております。

｢あの～、副長、いらっしゃいますか？

ちょっとよろしいでしょうか？｣

｢今忙しい。なんか用か。｣

おそるおそる声を掛ける彼女らに、土方がいつものぶつきらぼうな物言いで、襖を閉じたまま返事する。

彼女らにしてみれば、このぶつきらぼうさが良いのだそうだ。

ガキの趣味はよく分からん。

｢お誕生日おめでとうございます。

あの、コレ…プレゼントです。｣

｢…中身は何だ。｣

｢マヨネーズです。｣

｢(！！)……そこに置いとけ。｣

彼女らは部屋の前に箱を置き、業務に戻った。

彼女らの足音が消えた頃、土方さんは廊下に誰もいない事をしっかり確認し、プレゼントを素早く部屋に入れた。

私は廊下に出て、副長室の襖に耳を当てた。

｢ウヒャア～！マヨだ！！
ダースだ、ダース。

しかも業務サイズだ。｣

はしゃいでる。はしゃいでいるぞ、あのクールガイの土方さんが。

姿は見えないが、おそらく小躍りのひとつもしているに違いない。

襖を開けたい衝動に駆られたが、必死の我慢で自分の部屋へ戻った。

・―・―・―・―・―・

｢華蓮さぁ～ん、何でかなぁ？

せっかくのゴールデンウィークでお天気も良いから、一生懸命お洒落してお妙さんをドライブに誘いに行ったんだよ。

そしたらまたものすご～く怒らせちゃったんだよねぇ。

何でかなぁ？｣

そりゃ怒るさ。

まず『一生懸命お洒落した』って言うけど、袖を裂いた革ジャンを素肌に直接着るのはナイよな。
うん、ナイ。

次に『ドライブに誘いに行った』って言うけど、パトカーで迎えに行って喜ぶ女がどこにいる！？

でも、ずっとこんなに一途にお妙さんの事を想い続けてるんだから、お妙さんもそろそろちょっとぐらいは振り向いてあげてもいいんじゃないかなぁ。

局長って見た目はゴリラだけど、子供好きで誰にでも優しいし、男気もあって人間的器も大きいし、結婚するには最適な物件だと思うけどなｧ。

まぁ、｢生理的にムリ｣って言うんなら仕方ないけどさ…。

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