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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[33]５月２日

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…歌が聴こえる…

懐かしい

優しい

大好きな声…

帰りたい

この声の元へ……

・―・―・―・―・―・

瞼を開くと、

柔らかい銀髪に
優しい瞳が
目の前にあった。

｢…お帰り。｣

あ、銀時だ…

｢お前、三日間も眠ってたんだぞ。

どんだけ寝不足だったんだよ。｣

あれ、ここ病院だ。

そうか。

会田組と山本組の抗争の最中に私、拳銃で撃たれたんだっけ…。

あぁ、永い眠りから目覚めたばかりでだるくて、まともに返事が出来ない…。

｢やられたんだろ、肩。

医者が言ってた。

傷、一生残るって…。｣

そりゃそうだろうね。至近距離で撃ち抜かれたもんね。
こういう仕事してりゃ、いつかはこうなるって分かってた事だ。

｢そんな銃創こさえた女なんか、もう誰も貰っちゃくれねぇな。

…仕方ねぇ。銀さんが引き取ってやるよ。

お前しかいねぇしな、俺みたいな男の嫁さん張れる奴ぁ。

お前が護りたいモン守って、護り抜いて、『十分護り切った』と腹一杯になったら、そしたら俺んとこ来い。

そしたら今度は俺が

お前を護る。

待っててやるよ。

お前がシワくちゃのオバサンになっても、

よぼよぼのバァサンになっても、

ずっと待っててやるから。｣

返事したいのに喋れない。

言葉の代わりに

涙がこぼれた……

・―・―・―・―・―・

銀時は、近藤局長の｢入院した隊士の看病をしてくれ｣という依頼でここに来て、初めて患者が私だと知って驚いたのだそうだ。

局長も粋な計らいをするもんだ。

私を担当する元同僚の看護師が言っていた。

銀時は意識の無い私の耳元で、ずっと繰り返し同じ歌を歌っていてくれたのだという。

｢あれ、何の歌？｣

看護師から聞かれたけど、教えない。

昔、

銀時が私を腕枕して

いつも耳元で歌ってくれていた

大切な

特別な

歌だから……

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