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負けない!!負け犬【３】～私とＪｒ.と銀時と～《連載中》

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[30]３月７日(近藤)

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ハチってこんなに恐ろしい生き物だとは思わなかった。

洗濯した時に紛れ込んだのか、パンツを履いたら刺された。

例のアレを。

「痛い」と感じた時にはもう時既に遅し。

見る見るうちに腫れ上がり、激痛が走り始めた。

やがてアレの痛みと共に全身熱を帯び始め、俺は病院に運ばれた。

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幸い入院は免れ、自宅療養となった。

しかし高熱にうなされながら布団に横たわるが、患部がジンジン痛んで全く眠れそうにない。

ズボンやパンツでさえこすれて苦痛だ。

えぇい、別に布団を剥ぎ取って見る人もいないさ。全部脱いじゃえ！

衣服を全て脱ぎ捨てると、いくらか楽になった。

改めて自分の腫れ上がったアレを眺めてみる。

普段の三倍はあろうか。

名うてのプレイボーイ羽○研二は、[戦闘体勢]の際には長さが２５センチになるという。

はたして太さはどうなんだろうか。

もしかしたら今の俺が[戦闘体勢]を整えれば、奴に勝てるかもしれないな。

だが今そんな事をしたら、間違い無く俺は三途の川に片足を引っ掛けることだろう。

さて、くだらない事を考えるのはよそう。
高熱でクラクラしながら、俺は再び布団に潜り込んだ。

しばらくすると、隣の副長室から話し声が聞こえて来た。

どうやらトシと総悟と華蓮さんらしい。

「全く困った奴だよ、近藤さんは。」

すまん、トシ。不甲斐ない局長で…。

「ハチに刺されたってこたァ、アレが腫れてるっつー事でしょう？

あの人の事だから、案外喜んで記念の写メでも撮って、キャバ嬢に送りまくってんじゃないですかィ？」

オイ総悟、俺を何だと思ってるんだ！？

…ソレいただき。

「何呑気な事言ってんのよ！

もしかしたらこれが原因で、局長がタネ無しになる可能性だって大いにあるのよ。」

エェーーー！！マジでか！？

えっ、ちょ…まっ…エェェェ～～～！？

俺の将来が存亡の危機にさらされているなんて、思いもよらなかった。

「そいつは困るなァ。

…いや、まァしかし近藤さんの子孫なんて残さなくったって、別に構やしねェけどな。

どーせゴリラ顔の残念なガキが生まれるに決まってんだから。」

ななな何て事言うんだ、トシ！

お妙さんとの間に生まれる子供だぞ、かわいくないはずがないだろうがァァァ！！

「まぁ心配なんかしなくたって、どうせしばらく使用してないんだからタネ無しになるが早いか、腐り落ちるが早いか…ってとこじゃないんですかィ。」

「あー、そうよね。

タネ無しのまま残ったって虚しいだけだもんね。

いっそ腐り落ちた方がサッパリするかも。」

やめて、そんな不吉な事言うの！マジで頼むから！！

我が子のように大事に大事に育んでんだから、腐り落ちるとか言わないの！！

ホントにもォ。

身も心も病んでる俺の気も知らないで、みんなして好き勝手言いやがって！

あぁ、ズキズキ痛むなァ…そういえばそろそろ病院で貰った軟膏を塗る時間だな。

高熱で重く感じる体を起こし、小さな容器に入った軟膏を指で適量すくい取り、パンパンに腫れ上がったアレに塗り付けた。

しかし塗っている感覚も無いほどズキズキと脈打っている。

「かわいそうに、我が息子よ…」

ほうと溜め息をつきながら撫でてやると、思わず涙がにじんだ。

ごめんな、人並みな幸せをやれなくて。

赤く熱を帯び、息絶え絶えの息子に語りかけていると、ふと人の気配がした。

部屋の入り口を見ると、硬直する女子隊士と、床にひっくり返った食事がそこにあった。

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