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負けない!!負け犬【３】～私とＪｒ.と銀時と～《連載中》

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[28]２月８日(銀時)

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愛息･金太郎も、７ヶ月児となった。

毎日すくすくと育ち、成長甚だしい。

「よし準備出来た。

行くぞ、金太郎。」

「だぁー」

今日は病院へ健診を受けに行く事になっているので、おんぶ紐で金太郎を背負い、バイクにまたがった。

しかし今朝は天気は良いが気温が低く、バイクの風は赤ん坊にはちと厳しそうだ。しかたなく親子ツーリングは諦め、定春の背中にベビーシートをセッティングした。

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以前サンタのオッサンに貰った育児書で、予習してきた。

７ヶ月児の生態というものを。

当然うちの愛息子はどの項目も全てクリアしている。

いやいや、優秀ですなァ。顔も良ければ頭もいい。さすが坂田さんちのサラブレッド！

種と畑が優秀なら、そこから芽生えるものも当然優秀っつー事だ。

はっはっはっ…

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小児科の待合い室にあるプレイゾーンには、沢山の赤ん坊がひしめいていた。

そして今オレはそこで軽く失望している。

うちの子が一番かわいいと信じて疑わなかったのに、今ここにいるよその子供達は、皆金太郎なんかランク外というようなキレイな子ばかりだ。

知らなかった。

かわいいのはうちの子だけじゃなかったのか…。

その中で、一際目を引くモデルのような顔立ちの男の子がいた。

その子供はハイハイをし、父親のもとへ辿り着いた。

それを抱き上げる父親をふと見ると、派手な女物の着物に、顔には包帯…

「高杉…」

オレのつい呟いた声に、奴もこちらを向いた。

「あぁ、お前か…こんな所で奇遇だなァ。

クックックッ…」

気色悪い笑いは相変わらずの様だ。

しかし何故コイツがこんな所に？

それも赤ん坊を連れている。

以前部下の来島また子を孕ませた事は知っているが、まだこんなに大きな子供にはなっていないはずだ。

「…コレか？

オレの子だ。

この間お前が見た女とは違う女のな。」

オレの心を見透かしたように、奴が応えた。

「いずれ優秀な戦闘員に育ち、オレの片腕となるであろう子供の成長具合を確認しようと思ってな。」

そう言うとニヤリと片方の口角を上げた。

「松陽先生の教えを生かすことなく万事屋などという腑抜けた商売をしているお前のガキだ、やはり顔からして大した事はないな。

クックックッ…」

カッチーーーン！！！

我が息子を｢大した事ない｣だとォォォ！？

コノヤロー言わせておけば…

俺はそばにあった本棚に金太郎つかまらせた。

「え、何？お前んちの子、まだハイハイ？

悪ィね。オレんちの子、もうつかまり立ちだわ。」

太く逞しいその足でスックと立つ金太郎を前に、奴はピクリと眉を動かした。

すると隣に奴の子供をつかまり立ちさせ、またニヤリと笑い、言った。

「フッ、悪いねェ。

ウチのもつかまり立ちくらい出来るのさ。

…おや？お前の子よりもウチの子の方が脚が長いねェ。クックックッ…」

「なっ…バッ…バカヤロー！

お前なァ、よく見ろ。

身長は金太郎の方が高ェだろーがよ！！」

「という事は、やはり胴長短足という事だろうが。」

しまった！墓穴を掘った！！

高杉はまた例の甲高い笑いでオレ達親子を馬鹿にした。

ギリギリと歯ぎしりするオレを横目に、今度は高杉の子がスマイルしたかと思うと、いきなり衝撃的アクションを起こした。

「パパ～」

しゃべった！しかもあのモデル並みのかわいさで！！

オレは急いで金太郎の脇を持ち上げた。

｢金太郎！言えるよな？

お前だって｢パパ～｣ぐらい言えるよな！？

言ってみろ、サン・ハイ！！｣

しかし金太郎はオレの顔から目を逸らし、窓の方を向いて大声で叫んだ。

「しゃーるぅー！」

すると窓の外から定春が顔を覗かせた。

「ほほぉー、親父よりも先に犬の名を呼ぶとは。

お気の毒に、先が思いやられるお子さんの様だねェ、銀時。クックックッ…」

クッソォォォーーー！！

よりによって何で今犬呼んだ！？

何でパパ呼ばなかったァァァ！？

「まぁ出来の悪い子ほどかわいいと言うからな。

精々頑張って、倒れ掛けの万事屋の後継ぎにでも育てたらどうだい。クックックッ…」

ク…ク…クッソォォォ！！！

もうすぐ診察の順番が回ってくる。

それまでにコイツにだけは何としても勝たなければ…！

よし、アレで行こう。

金太郎は華蓮との間に出来た子だ。
コイツならアレが出来るはずだ。

オレは最後の賭けに出た。

「金太郎、このおじちゃん、頭に包帯巻いてねんねしてるんだよ。

起こしてあげようね～。

『起きなさ～い』『起きなさ～い』『起きなさ～い』

…アレ？３回起こしても起きないね。

じゃあ金太郎クン、アレをどうぞ！！」

金太郎は臆する事なく、高杉に強烈なヘッドバットを喰らわした。

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