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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[26]２月１２日(華蓮)

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副長の土方さんと一番隊隊長の総悟君は仲が悪い。

皆この二人をセットにした仕事は避けたがる。

私だって嫌だ。

喧嘩ばっかしてて、一緒にいる者にしてみれば鬱陶しい以外の何者でもない。

そんな二人と、今日は寺子屋で交通安全指導をするハメになった。

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｢一番若い者が司会をするのが望ましいのでは｣

という訳で、今日は総悟君が司会をする事になった。

グランドで体育座りしている寺子屋の児童約２００名を前に、マイクを握った総悟君が立ち、挨拶を始める。

｢あーあー…

みなさんコンチワー。

今日は交通安全指導っつー事で、やって来ましたァ。

向かって左側から坂田のオバチャン、その隣が[勇者ち○かす]こと土方、そして俺が沖田です。

今日一日俺のいう事だけ聞いてりゃ何とかなるので、チャッチャと済ませやしょう。｣

言いたいだけ言って一礼すると、案の定子供達から土方さんに向かって[ち○かすコール]が鳴り響いた。

土方さんは子供達の手前総悟君を殴る事も出来ず、拳を握り締め、歯をくいしばっている。

あ～あ、今日もまた一波乱起きそうな予感…。

・―・―・―・―・―・

まずは登下校の際の歩き方についての指導から始まった。

グランドには石灰で線を引き、即席の車道と歩道と横断歩道が作ってある。

児童は真剣に総悟君の言葉に耳を傾けている。

｢いいですかィー、皆さん。

道を通る時には一列に並び、右側を歩くんですぜィ。

では俺と土方さんでお手本を見せやすんで、よーく見といて下せェ。

華蓮さん、お願いしやーす。｣

総悟君の合図で、私はパトカーを発車させた。

とはいえここはグランドなので、速度は３０キロ弱にしておいたが…

｢歩道を歩く時は、ふざけたりはしゃいだりしない事。

そんな事をしていたら…｣

急に総悟君が、後ろに並んで歩いていた土方さんをドンと車道に向かって突き飛ばした。

あァァァァ～ひいちゃう!!

私は急ブレーキを踏み、車道に倒れた土方さんの１メートル手前で止まった。

グランドにキキキキッというブレーキ音と砂ぼこりが舞った。

土方さんはあまりの恐怖に声も出せず、冷や汗を流して座り込んでいる。

｢…と、こんなふうにひかれそうになります。

つか、ひかれちまえば良かったのに…。｣

ボソリと呟くその顔は、童顔ながら悪魔の素顔を覗かせていた。

ひ…酷い。

さすがドＳ星の王子。

やる事が悪質だわ…。

｢次は横断歩道の渡り方でーす。｣

私達三人は黄色い旗を手に持ち、石灰で書いた横断歩道の前に立った。

｢この旗を上に挙げて左右を見て、車が来てない事を確認したら渡って下せェ。

ちなみにこの旗は…｣

総悟君はそばにいた土方さんに、ニヤリと意味ありげな目線を送った。

｢こーしたりとか｣

旗で土方さんの頭を殴った。

｢こーしたりとか｣

今度はお尻に刺した。

｢こーしたりとか｣

鼻の穴に突っ込んだ。

｢しないで下せェ。

よい子のみんな、分かったかなァ～？｣

｢ハーイ｣という元気なお返事をする児童の前に、苦しみ悶える土方さんの姿があった。

｢じゃあ最後に、車にひかれると人はどのくらいブッ飛ぶのか、という実験をします。

じゃあ土方さん、早速パトの前で横になって…｣

｢するか、ボケェェェー!!!!｣

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