第41章
[04]
制止など聞くはずも無く、ミミロップ・コピーは橋を飛び降りて森の奥へと消えていった。
スピアーの数は今確認できる限りでも十数匹。一匹一匹は然して強力な存在でもないが、ひとたび集団となれば下手な猛獣よりも脅威となりうる。まるで群れ全体で一つの脳みそを共有しているかのような統制と連携の取れた動きに加え、数匹を倒したところで怯むことなく、それどころか次々と仲間を呼び寄せ襲い掛かってくるのだ。怒り狂ったオコリザルでさえ、スピアーの軍勢を見たら途端に顔を真っ青にして逃げていく程だという。
「や、やばいんじゃないか。どうすんだ」
どんどん包囲網を狭めてくるスピアー達に、デルビルは焦りの声を上げる。
「虫、それも大群か……」
マニューラが苦々しそうに呟く。心なしかその表情はほんの少し引き攣っているように見えた。
数では圧倒的に不利。この場で闇雲に抵抗を続けていても、その内押し切られて一斉に群がられ、全身を穴ぼこチーズのようにされて終わりだ。
「一旦トンネルの奥まで逃げて立て篭もり、態勢を整えるというのはどうでしょう」
針を振り回してスピアーを追い払いつつじりじり後退りしながら、ロズレイドが打開策を一つ提言する。
「いや、時間を掛ければ掛ける程、それだけまた奴らの数は増えてくるだろう。
出口に強固な防衛線を築かれてしまってはより突破はし辛くなる。状況は不利になる一方だ」
「それに、すぐにあいつの後を追わなきゃ! ほっといたら私の姿でどんな悪事を
しでかされるかわからないし、ミュウツー達のもとに辿り着くための貴重な手がかりでしょ!」
迫るスピアーを拳に燃え上がる炎を振りかざして牽制しながら、ミミロップが叫ぶ。
「うむ。では一点集中で包囲を突破し、追撃を振り切るぞ。最も危険な最後尾、しんがりは俺が務めよう」
「テメーだけじゃおちおち安心して背中を任せて走れねーよ。その役目、オレもやってやる」
両手にナイフのように鋭い氷の塊を構え、マニューラは言った。
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