第41章
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こうなっちゃ、もう諦めて腹を括るしかねえ。
半ばそいつに引き摺られるように、あっしらは片っ端から檻という檻を見て回った。
だが、どれもこれも中は空っぽで、薄汚れた床に藁クズや食べ残しのエサが転がってるだけだった。
――もし、このまんまガキが見つかんねえ、なんて事になったら……こいつはあっしを置いて……
いや、最悪、あっしをバラして自分だけで逃げやがるかもしれねえ――
そいつの苛立つような雰囲気に呑まれ、あっしはそんな疑念と不安に掛られ始めた。
だが幸いにも、それは杞憂のままで終わってくれた。
ようやく辿り着いた一番奥の檻に、そいつが言った通りの三角耳の黄色いチビがちょこんと座っていた。
「良かった……まだ、残っていてくれたようだ」
そいつが件のピチューとやらだったようだ。あいつは途端に緊張を解き、ホッとしたように呟いた。
その声が聞こえたのか、チビは振り向き、一瞬、驚いたような――嬉しそうな顔をした。だが、
「……何だ、また貴様か」
すぐにプイッとソッポを向き、事もあろうにあいつに向かって毒づきやがった。
「ああ、君を助けに来た」
「ふん、お節介め。助けてくれ、などと頼んだ覚えはない」
「俺も頼まれた覚えはない。俺が好き好んで勝手に潜入してきたんだ」
「余計な事を……どうせ来るならば、捕まる前に来れば良かろう」
「うん、出来ればそうしたかったんだけどね……ああ、早いとこ開けてくれないか?」
いってえ何なんだこいつらは? 傍で聞いてても、とても再会した親と子の会話とは思えねえ。
どうも釈然としねえもんはあったが、とにかくあっしは、即されるままに鍵を開けた。
「そやつは誰だ?」
檻からトコトコ出てきたそのガキは、警戒心丸出しのジト目であっしの方を睨んだ。
「彼はヤミカラス、協力者さ。俺達と一緒に、ここから逃げるんだ」
ガキは一頻りこっちを見た後、フン、と鼻を鳴らして腕組みなんかしやがる。
「そうか。こやつに与するとは物好きな。まあ、せいぜいカラスの勝手にするがいい」
……あっしは額に青筋が浮き、嘴の端がヒクつくのを必死で堪えた。
姿に似合わず、全く可愛げのカケラもねえガキんちょだ。これじゃあ、売れ残るのも無理はねえ。
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