第7章


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水は徐々に引き始めたが、アルセウスの前では黄と紫の石版が、同時に鋭い光を放つ。
「まとめていくぞ!その減らず口、あの世で後悔するが良い!」

轟音と共に激しい雷が轟き、衝撃と共に竜巻が俺達に迫る。
「……くっ!」
俺達は吹き飛ばされまいと足を踏ん張り、少しでも電撃を避けようと身を屈めた。
その時、
「危ねえ……!どけ!」「…むうう!絶対零度……!」

手前に飛び出した影に稲妻は大きく弾け、竜巻は凍り付いた大気の壁に阻まれ勢いを失った。
「エレキブル!ユキノオー!生きていたか!」

「ああ…今のはちと効いたがな…」
俺との死闘の時同様、エレキブルの背中から白煙がもうもうと上がっていた。
「わしだけは何とか持ち堪えた……だが、ユキカブリ達はもう…」
ユキノオーの巨体も、今までの戦いでボロボロに崩れかけていた。
あと一撃でも喰らえば、こいつらは……
だが……

「…攻撃は、全部俺が受け止める!お前らはその隙に石版へ突っ込め!」
エレキブルは、戻って来たユンゲラーとドクロッグに言った。
「また親友を失ってしまった…このまま、ただで死ぬ訳にはいかん!」
「おう!ドーミラーの仇はぜってえ取るぜ!」

「あれは竜の力じゃ……ならば、わしが体ごと氷を叩き込めば…」
ぐらりと倒れかけるユキノオーを、ニューラ達とチャーレムが支えた。
「ジジイ一人じゃ無理だっつーの!」「あんたとは同盟者だからね」「年寄りは労らなきゃ!ギャハハ!」
「我が囮となろう…竜の目がこちらへ向いた時、皆で一斉に攻撃するのだ」

「待て!お前ら!まさか……?!」

特攻…玉砕……という言葉が、俺の頭を過った。




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