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負けない!!負け犬【３】～私とＪｒ.と銀時と～《連載中》

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[27]２月３日(山崎)

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華蓮さんが、市中見廻りにリヤカーを持って行けという。

俺は仕方無くそいつを引きながら、彼女に付いて行く。

ゴミでも回収しようと言うのか。

訳も分からずしばらく街中を歩いていると、とある店の前で華蓮さんが立ち止まった。

「うち、米切れてんのよね。」

そう言って米屋の暖簾をくぐった。

そうか。

見廻りのついでに買い物も済ませちゃうっていう事か。

しかし俺の読みは浅かった。

「ちょっとお米屋さん。

これ古米だわね。

なのにちゃんと表示してないじゃないのよ。

色や匂いで分かるんだから、お巡りさんには誤魔化しは効かないわよ。

これは虚偽罪に当たるわね。」

そう言うと華蓮さんは、俺にその古米をリヤカーに乗せるよう指示した。

「これは没収するわ。

今回は見逃してあげるけど、次に見廻った時にまた古米なんて売ってたら、今度こそは逮捕するからね。

さぁ、行くわよザキ。」

彼女はそう言い残し、米屋を後にした。

「あはは～儲かった！」

彼女は悪びれる様子もなく、満面の笑みでまた歩き始めた。

おいおい酷くね？

これって『警告』と言う名の追い剥ぎじゃね？

いいのかよ。
アンタ仮にもお巡りさんだよ？警察だよ？？真選組だよ？？？

それがこんなサギ紛いの事しちゃって…

「そうそう、靴下も欲しいのよね。」

俺の心配をよそに、彼女はまた新たなる狩りに出掛けた。

「ごめんくださ～い。

ちょっと足が疲れたから、休ませてちょうだい。」

そう言うと、店内の椅子に遠慮する事なく座り、革靴を脱いだ。

「あら、こないだここで買った靴下、もう穴開いちゃってるわ。

ちょっとォ、不良品なんじゃないの！？」

華蓮さんは店の奥の店員さんに向かって足を突き出し、親指に開いた穴を見せた。

するとアラ不思議。

５分後には彼女の足に、新しい靴下があてがわれていた。

しかもワンランク上の、むくみ防止タイプ。

喜々として店を出る華蓮さん。

こういうのって、クレーマーって言うんじゃなかったっけ…。

その後も『喉が乾いた』とお茶屋に入って最高級玉露を貰ったり、『金太郎のオムツが欲しい』と薬局に入りパーパンスの試供品をしこたませしめたり、『お肉が食べたい』とお肉屋に入り和牛をブロックでゲットしたりとやりたい放題し、屯所を出発してたった１時間でリヤカーが満杯になった。

「華蓮さん、コレ…本当にこんな事して大丈夫なんですか？」

重たくなったリヤカーを前のめりで引きながら、俺は訪ねた。

すると彼女はニヤリと口角を上げ、言った。

「大～丈夫よォ。

だって何かやましい事があるから、あぁやって店の物をおいそれとくれる訳でしょ？

だからこうして警告して注意を促すの。

これで悪さしなくなれば逮捕しなくて済むし、続けて悪さしてるようならチャッチャッと逮捕して、サクッとお手当貰えるし！ウヒャヒャヒャ…」

女の賢さ、浅ましさ、強かさを、ダイジェストで見せられた気分だ…。

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