第二章


[04]姉妹


兵はこれに肩を貸し話しかけた。

「立てますか?」

「…あぁ…ケホッ…
お前達には…世話になった。」

これは兵の肩をかり、歩きはじめた。

「そんなことないです!
ここにいる兵は皆孤独になり居場所がなくなった人達ばかりだ。
戦闘で仲間を失ったり家族を失ったり、金が無かったり仕事を貰えなかったりして、後は死んでいくのをただ待つしかない輩ばかりだったんだ。
そんな中毘禅様は俺達をこんな綺麗な宮中で兵として迎えて下さった。
貴方の気持ちは全兵痛い程よく理解していました。
機会があればまた兵に声をかけてあげてください。」

「私からもありがとうございます」

牢獄を出て王宮へ向かう途中、中館の玄関から四人の女性が出てくるのが見えた。

女性達はこちらに気づき向かってきた。

「あっ!寢(シン)四姉妹だわ!久しぶり!」

爽貴様は手を振ると四人は息ピッタリに叫んだ。

『キャー!爽貴様よぉぉ!』

爽貴様の前に横一列にならんでは右から順番に自己紹介を始めるが、よくみれば同じ顔が揃っていた。

「初めまして!長女の寢 垰蘭(シン・タオラン)」

「次女の垰稟(タオリン)」

「三女の垰蓮(タオレン)」

「四女の垰崙(タオロン)」

そしてまた一人ずつ話始めた。

爽貴様達三人は入る空きもなくただ彼女達の話を聞いていた。

「貴方が五年前の彼かしら?」

「初めまして、寢姉妹よ!」

「話は毘禅様直々からお話聞いているわ!」
『宜しくッッ!
キャー!四人初めて息が合ったわぁ!
これで私達これからの接待は完璧ね!』

三人は完璧呆れかえっていた。

「…取り敢えずお風呂に案内頼むわね。」

『はい!こちらです!』

四人は行く方向に一列に列び片手をししだした。

彼の隣で肩を貸している兵は歩きながらついぽろっと言ってしまった。

「あれが接客ならもうちょっと手短にしたほうが良いのでは…」

三女の垰蓮は答えた。

「あら、これでも縮めた方なのよぉ!」

四女の垰崙は続けた。

「そうよぉ、毘禅様に短くすれば更に素晴らしくなると言われたから大分短くしたのよ!」

『普段の三分の二余り。』

「知らなかった。」

そんなこんなでやっと大浴場に着いた。
浴場は、別大(べつだい)浴場・大浴場と二つある。

別大浴場は外国の国王などが会議が長引き泊まられた時などに入って頂くだめだけの、言わば来客用大浴場で大浴場の倍はあり、一番綺麗にされている。

ちなみに大浴場は劉一族と孫一族、王宮内に仕える者に兵達もが使う浴場である。

王の位から兵まで同じ浴場を使っているのは掌国王宮のみなのだ。

他国の王宮では必ず別大浴場と大浴場に兵達だけの中浴場と三つになっている。

国王・毘禅様のこだわりで、お風呂は寛ぐところ、身分関係なくゆっくり同じ湯に入り、この時だけ勤務を忘れまた気持ちを入れ替えよと言うことで二つになった。
身分の低い兵にまで配慮をして本当にお優しい方である。

そして兵達も毘禅様の気配りに甘える事はなく、自分達だけで出来る事や役に立てる事は機敏に行動しているのである。



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