第四章
[02]会議
毘禅様、爽貴様、関与、龍緋が会議室へ顔を出した頃には既に皆が揃っていた。
ドアから順番に仁国、呂国、鄭国と権力の強い国から順にドアへと並んでいる。
そして掌国は一番奥に二人分の席が自然と空いている。
ドアを入って右は国王、左は御子息が向かって座っている。
毘禅様と関与は右、爽貴様と龍緋は左、そして毘禅様は各国王と爽貴様は御子息と握手を交わし席へと進む。
関与と龍緋も各側近に握手を交わし挨拶をする。
龍緋が仁国の王子の側近に挨拶をした時だった。
「…やっぱり生きてたんだ。」
柔らかい面持ちで薄い目が優しく笑う。
「………。」
龍緋は自分の真剣に集中をした。
「おっと、まじにならないで下さい。
私は烽琉(ホウリュウ)」
屈託のない表情で片手を差し出した。
「…龍緋だ。」
眉にシワを寄せたまま出された手に自らの手を重ねる、と同時に少し引き寄せられ耳元で囁かれた。
「爽貴様可愛くなったね、掌国は狙わないから大丈夫だよ。
アイツ等がいる限りはね…。」
「…何の事だ。」
「怪しまれる、早く行った方が良い。」
そういって握手をした手を離すとひらひらと横に振った。
後二人の側近にも挨拶するがあの言葉が頭から離れない。
そして爽貴様の後ろに着く。
もちろん爽貴様は龍緋の表情を一目だけで様子がわかった。
「龍緋?どうかした?」
「いや。」
龍緋は爽貴様に笑顔をむけてこたえる。
「それでは会議を始める前に私毘禅と爽貴の付き人が代わりました。
まず、爽貴の付き人の龍緋、そして爽貴の付き人だった関与が私、毘禅の付き人となりました。」
二人が頭を下げた。
すると呂国国王が立ち上がった。
「関与殿は以前爽貴様の付き人をされていたのでは?」
「はい、ですがこれからの者には色々仕事を覚えていってもらわないといけません。今でも十ニ分に第三の右腕として役割を果たしてもらっています。」
「さようか。毘禅殿がそういうなら関与殿、今後の活躍楽しみにしておる。」
「はい、毘禅様が恥じぬよう常に心がけます。」
呂国国王は納得し、毘禅様に目をやった。
「所で、毘禅殿、各国の災いの事だが…。」
毘禅様はやはりといった表情で皆の顔を伺った。
他国の国王皆が毘禅様を真剣な眼差しで注目していた。
すると、呂国の王子が答えた。
「もしや、あの意味不明な城が急に建ってからではないでしょうか?」
皆が呂国の王子を見た。
仁国の国王が机に肘をついた。
「確かにそうだがあのような大きな城に誰も気付かなかった…。
普通建てている最中に気付くはず。」
鄭国の国王が腕を組み、考え始めた。
「恐らくその謎の城を建てたのは普通に建てられた物で、それを隠す為黒魔術によって隠された。」
仁国の王子が質問をした。
「術でどうやって隠せるんですか?
黒魔術は退廷、攻めと防御が基本ですが。」
「それが、黒魔術は古代に禁術を唱えた掌国国王がいたと書物で読んだ事があります。
春麗に頼み調べて貰い、実験で建ててみました。
今から私の書斎に来て頂きます。」
皆は関与を先頭に会議室を後にした。
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