第三章


[11]暗号


「こちらです」

璃燕先生は毘禅様達を案内した。

「これはッ!!」

部屋の四方の壁に血で龍をかかれていた。
「舌を噛み砕き死ぬ迄にこれだけの龍を描くのは普通無理だ。」

爽貴様は驚いた。

「どうやって…。」

「恐らく力を振り絞って術を使ったのだろう。
しかし、術によって色も変えれる。
力尽きたか或は…赤龍を指しているのか…。」

「そのようですね、先程の黒い浮遊物ですが、神妙山へ向かって行きました。
確か赤龍のいる山ですね。」

「何かあるなぁ…。」

彫雲が前に出た。

「私共が参りましょう。
何か情報を得られるかもしれません。」

「いや、今のお前達にはかなりキツイだろう。
あの神妙山に誰か居たとすれば敵のみだろう、そして呂国の近くに出来た城と繋がっているに違いない。
迂闊に近けば勝てる相手かも知れないが勝てない場合もある。
ここは慎重に行く、今の所四国には何の被害もない、もう少し様子を見よう。
このへやはとりあえずそのままにしておいてくれ。」

皆が静かに頷いた。

「今日はもう遅い、明日も朝が早いことだ、しっかり食事をし睡眠を取るように。」
『はい!』

「そして龍緋、明日は頼んだぞ。」

「はい。」

そういい、毘禅様、彫雲、関与と三人は先に戻って行った。

龍緋は壁に穴が空きそうな程じっと血の龍を見ていた。

「龍緋?」

「…爽貴、さっき話をした俺を神妙山から連れ出した男がいると言っただろ?
あいつらが今回この自害した奴と繋がっていると思う。」

「龍緋はそんな危険な場所に物心つくまで何故あの山にいれたの?
本当だったらとっくに殺されていてもおかしくないわ…。」

龍緋は爽貴様の頭を撫でた。

「それは明日解ることだ。
さて部屋にもどりましょうか。」

「う…うん。」

爽貴様は訳の解らないまま部屋へと戻って行った。

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