第三章


[10]配置


ー第一会議室ー

第一会議室は長い長方形の部屋に両端一列のみ椅子が置かれていた。

王は真ん中の端に座り、右に一列、左に一列という風に椅子が並ばれていた。

毘禅様の右列には、爽貴・彫雲・関与・龍緋・兵長・副兵長・王宮兵長・門番兵長・中館門番兵長・北館門番兵長・南館門番兵長と言う順で、副兵長からは二人となっている。

左列には、王宮術師長三名・魔術師長・旧館門番兵長・新館門番兵長・牢獄門番兵長・城外監査長三名・城外警備第一班〜第七班取締役の各一名ずつ(計七名)が揃っていた。

要はここに集まる者は皆、各持ち場の管理者達である。

そして龍緋が関与の隣に座っていた。

「緊急で申し訳ない。
薄々皆は感じていたかもしれないが、五年前のこれを釈放した。」

辺りはざわめき、王宮一の大御所・魔術師長が挙手をした。

「私共は彼が牢屋にいる間は兵から耳がタコになるほど話を聞いている。
ただ彼を釈放するという事は、毘禅様、近々何か闘いがあるのでしょうか?」

「いや…特に決まった訳ではない。
だが、備えのためだ。
五年前のように何処からか襲ってこないとも限らない。」

兵長が挙手をした。

「毘禅様、どのような配置になさいましょう。」

「王室から発表する。
爽貴・付き人龍緋。」

龍緋は落ち着いた返事をした。

「はい。」

「春麗と今の付き人はここには居ないが、今まで通り陜瀞(コウセイ)。(関与の姉)」

関与は爽貴様の元付き人だったが、降ろされたのにショックを受けていた。
毘禅様の付き人はきっと父・彫雲だろう
本来決闘をいどんでも良かったが負けるのは目に見えている。
諦めの着いた頃合いだった。

「毘禅・付き人関与。」

自分の名前を呼ばれ反射的に返事をした。
「はい!」

「各付き人と兵の指示と教育を彫雲。」

「はい!」

「以上。」

会議も終わろとした時だった、またもや魔術師長が挙手をした。

「私はどうもこれを信用できなくてな。」
毘禅様は予想通りといった表情だった。

「ええ、こちらに来られている四分の三は同じ意見だと思っています。
どのようにしたらお受けして頂けますか?」

四分の三の意見の者は難問題を出してやろうと一斉に腕をくんだ。

毘禅様はそんな空気を割って入った。
「では、赤龍を連れて来てもらってはいかがかな?」

にやにやと魔術師長は再び話し始めた。

「それはいい、では期日は龍緋、いかが致そう?」

龍緋は薄ら笑いをした。

「本当にそのような条件だけでよろしいのですか?」

更に見下したような表情で腕を組んだ。

「偉い自信だな。
この条件は孫の血筋でも未だ達成出来なかったのだが流石の私も大の大人だ、これでも手加減しているつもりだがな。
失敗した場合は牢獄戻りだ。」

その言葉に周りはホッとしたように肩を下ろし拍手をし始めた。

爽貴様は抗議するため立ち上がったが。
何かを言いかけたが、龍緋は爽貴様を庇うように前に出て話しはじめた。

「良いでしょう。では、こちらもお願いがあります。」

「まぁ、聞いても無駄だが言ってみろ。」
「私がもしも赤龍を連れて来たならば、私を龍緋で呼んで下さい。」

「名前など不要であろうに。」

龍緋は眼を鋭くし言い返した。

「私に名前をつけて下さったのは毘禅様です。
もしこの名前が呼べぬのなら私だけでなく毘禅様を否定するも同じ事。」

「く、餓鬼が…まず赤龍を連れて来てから言え。」

龍緋は満面の笑顔を見せた。

「では、皆様、明日の明朝にお呼び致しますので判定宜しくお願いします。」

皆は呆気に取られていた所毘禅様は話しを繋げた。

「だそうだ、ではまた明日外で収集お願いします。
以上、解…。」

「毘禅様!」

急に会議室のドアが開き、息を荒らした璃燕先生が立っていた。

「何だ。」

「…これは会議とは知らず失礼致しました。
実は…捕縛した内通者の者が舌を噛み切り自害を…。」

「そうか…何か情報は掴めたのか?」

「それが…。」

璃燕先生は毘禅様の耳元でコソっと言うと毘禅様は驚いた。

「璃燕の部屋か?」

「はい。」

「今日の会議はこのへんで、続きは明朝、解散。
璃燕、爽貴、彫雲、関与、そして龍緋は私に着いて来なさい。」

六人は会議室を後に璃燕先生の部屋へと向かった。

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