第1ワ


[01]君が消えたセカイ


オレは別に誰かを巻き込むつもりなんてなかった。


ただ1人で死にたかった。

どうして?

今になって怖いんだろう。どうして・・・

どうしてオレじゃなくて彼女が死んでしまったんだろうか・・・。

夢と現実は、違う。
オレは彼女が笑うから
今までこの現実で生きてたんだ。

彼女が、いなくなった。

オレは、現実で生きる理由がなくなった。


「・・・。何してんだ、オレ。」


気が付くとそこは地下鉄の路線前。

「・・・あ、そうか。ようやくオレは夢が叶うんだ。」
ホームに音がなる。
電車が、来る。

ずっと、
ずっと死ぬことが夢だった。
それをとめる“彼女”はもういない。
でも、その夢のせいで彼女は死んだ。

これは、やっていいのだろうか?

「・・・やっていいだろ。」
そうだ。死んだら彼女に会えるじゃないか。
夢も叶って、一石二鳥って奴・・・か。

じゃあな、現実。


オレは路線に落ちようとした。


電車は、来る。

回りは、ざわめく。

うるさいな。
わめくなよ。
たかが世界のゴミが死ぬだけだろ。
誰も止めやしないさ。


止めやしない・・・。


「危ない!」

「!」


****


次に目を開けたとき、オレはベッドで目を開けた。

病院・・・。

起き上がろうとしたが、何かが上にいる。

「・・・。おい起きろ。」

知らない女が椅子に座って寝ていた。
が、倒れてオレのベッドにもたれている。

「ん・・・おはょ」

「邪魔。」

「あ、ごめん」

女は起き上がり、オレも体を起こす。
その時、女の顔をみた。

「!お前・・・。」

「ん?あたし?あぁ、まだ名前言ってないよね?八雲一姫、いちひめだよ」

「そうじゃなくて・・・。」
“彼女”に瓜二つの顔。
名前も・・・似ている。

「君は?」

「・・・東(あづま)。和桃(わとう)東。」

「東君かぁ。昨日地下鉄のホームで路線に落ちそうだったからたすけたんだよ!」

「・・・。(お前か、オレの夢邪魔したやつ・・・。)」

「危なかったよー!」

「そうか、悪かった。」

東は立ち上がり、病室を出ていこうとする。


「だめだよ!」


東の腕をつかみ、とめる。
(なんだこいつ)

イラつきはじめる東。

「・・・何?」

「私、‘━━━━━!’」
「・・・は・・・?!」



こいつ、何言ってんだ・・・
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