第33章
[02]
「それで―――、なぜ今は生死を自在に操ることが出来なくなったのですかな?ヒヒヒ」
「うむ、数年前、禁忌である神の真似事を成功させた者があらわれた。いや、正確には完璧な肉体と精神だけを作りだした。
生命の営みに逆らった生命の創造―――我にはその作りだされた者の魂が何所から来たのか、そもそも魂を持っているかどうかさえもわからないのだ。
そして今、その作りだされた者が足りないものを求めるかのように、禁忌を犯しさらなる生命を作りだした。
この魂の愚弄ともいえる行為がこの生死の調和を乱し、我の力も狂い出してしまったのだ。」
一気に話し終えるとキュウコンは大きく息を吐いた
「で、俺たちに何をさせたいんだ?そんなに大事なことなら自分で止めに行けばいいじゃねーか。」
すかさずゲンガーが喰ってかかる
「そのつもりだ、だがこの器では奴を止めることはできない。
かといって、これ以上生命を作りだされるわけにはいかない。」
「つまり、私たちに時間稼ぎをしろということですね。ヒヒヒ」
察したサマヨールが感情の読み取れない表情でほくそ笑んだ
「あぁそうだ、欲を言えば生命を生み出す装置を破壊してきてほしい。」
「ケッ、そんなめんでぇことはごめんだね。他を当たってくれ。」
踵を返し、部屋を出て行こうとするゲンガー
「―――そんな時間はない。すでにピカチュウ達が作りだされた者共と対峙している。
貴様らが行かねば、装置の破壊どころか無事帰っては来られないだろう。」
ピカチュウ、その言葉を聞きゲンガーの足がピタリと止まった。
「それでも断るというなら、強要はしない。さっさとここから―――」
「わかったよ行けばいいんだろ行けば。ケッ!
勘違いするな、ピカチュウはこの俺が倒す。そのために行くだけだ。行くぞ、ゴースト共!サマヨール!」
「「「アイアイサー!」」」
我も急がねば―――早く新しき器を―――
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