第四章


[07]修行


ー????ー

一人の男が広い何処かの書斎に入ってきた。

「崇(スー)様、掌国への準備が整いました。」

黒い椅子に座っている男、崇とやらは入ってきた男に目を向ける。

「よくやった、では…そうだなぁ…『垰珎(タオチン)』に向かわせろ。
龍緋はまだ殺す時期ではない、掌国に我々の存在があることをしらしめる程度でいい。」

「はっ!
『瑞獣』はいかが致しましょう。」

「…それは任せる…といっても奴は出すだろうが、悪魔でもしらしめる程度でいい。」

「かしこまりました。」

男が出た部屋では崇の笑いが止まらなかった。

「くくくっ、今から出ると急襲できるのは二日後くらいか…。
彰廉・毘禅、そして龍緋…、思い知るがいい。」

ー掌国・城内の鍛錬の間ー

この広い部屋に爽貴様・龍緋殿・関与殿が彰廉先生により呼ばれた。

「よく来てくれた。
集まってもらったのは他でもない、今他国で色んな災いが起こっている中掌国だけがまだ起こってない。」

彰廉先生は龍緋殿をちらりと見て意味深な言葉を発した。

「昔の事もあるからのぅ…、王家の血が流せないよう力をつけておかねばならん。」

皆は龍緋殿の五年前の一件から今までは何もないと思い過ごしてきたが、これから何かがあると直感で感じてました。

爽貴様と龍緋殿は目を合わせ、この間の彰廉先生と書斎でお話したことがきっかけかもしれないと察していた。

関与殿は知らないまま、ただの修行だと思い頷いていた。

「時間はない、今から言う各場所に君達の師匠を呼んでおいた。
精進して励むように。」

『はい!』

「関与殿は『剣術の間』、龍緋殿は『鍛錬の間』爽貴様はわしと『試練の間』でする。
以上、解散。」

ー試練の間ー

この広い部屋は沢山の柱が建っている。

「彰廉先生、この部屋は『禁じられの間』ではありませんか?」

彰廉先生は閉じられた鍵とその鍵に付いている術を解き、言葉をものともせず先へ進んでいく。

途中、更に階段を登ると、部屋の四隅に大きな銅像が下を睨み付ける様に建っていた。

二人はその中央に来ると彰廉先生が立ち止まる。

「…爽貴様、貴女にも多少の力を付けて頂きますぞ。
出来る限りの体力は身につけて貰わんとな…。」

「彰廉先生、一体何をお考えなのですか?」

「爽貴様、貴女には今日一日で飲まず食わず、そして不眠の状態で試練を乗り越えてもらう。


そして、明日のこの時間には黒龍と契約をしてもらう。」

「ぇえーー??」

ー剣術の間ー

関与殿は扉の前に立っていた。

「ここは確か『禁じられの間』の一つのはず…彰廉殿は何をお考えなのだ…。」

ブツブツといっていると中から声が聞こえてきた。

『…入れ』

関与殿は聞き覚えのある声に勢いよく扉を開けた。

「何をしている、早く始めるぞ!」

「お…親父??!」

中には彫雲殿が仁王立ちをし、腰には戦闘用の剣が修められていた。

「明日まで俺がお前の師匠だ。
家族だからとて容赦はせんぞ。
彰廉殿からはお前に剣術をより高めるようにとのことをいわれている。

そして明日の夜中までには『剣(つるぎ)の王』史上最強技、『弧臺剣(こだいけん)』を身につけて貰う。」

「何だって??!」

ー鍛錬の間ー

龍緋殿は既に扉を開けていた。

「へぇ、貴方がぁ…」

「久しぶり…と言っても一週間ぶりか?
相変わらず口が悪い、爽貴のためちょっとは直ったと思っていたが?」

龍緋殿の前に立っているのは毘禅様だった。

「貴方はお暇な方なのですねぇ。」

「ふん…暇ではないが国のためだ。」

「っで、何を教えて貰えるのです?」

「お前の赤龍の扱いとお前自身の赤龍の経験を積ませなければ実戦で役には立たない。」

「では忙しい時間をさいて貰っているんだから付き合ってみましょう。」

「あまり減らぬ口を叩かない事だ。」

こうして三人は彰廉先生によって修行が始まった。

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