第五章


[05]王子


ー客室・盛策様ー

どががががががーーーん!!!

盛策様は愛用武器のトンガーを両手に丁度迎え撃つ敵を倒し終えたばかりだった。

「ふぅ〜。
相手が悪かったな。」

盛策様の目の前には倒れた敵が山積みとなっていた。

「さて、確か周角様がお一人のはず…。
珀郢がまだ戻らないが…先に寝室に行くか…ん?。」

盛策様は廊下に出て外を見たとたん顔面蒼白となった。

「ッ!!!
これはなんてこったッ!!」

盛策様が見たものは、仁国正門入口に先ほど倒した敵と同じ服を着たたくさんの兵が
ぞろぞろと入りこんで来ていた。

「早くみんなに伝えないと…て、みんなバラバラじゃないか…!!」

盛策様がうろたえていた時だった。

ヒュン!!

「盛策様!!!
ご無事で何よりです!!」

「何をしていたんだ!!
あれをみろ!!」

「申し訳ございませんでした。
私も先ほど確認しました。」

「ここの兵は倒れているは敵は次から次へと増えていくわ、何がおこっているんだ!!?」

「盛策様!!落ち着きください!!
直に掌国から援軍が来ます!!
既に爽貴様と龍緋殿はこちらにお連れしています。
公角様と共に遼黄様と尹穂殿のいる裏門へ向かっています。
あと…その裏門には崇と言う者が既に姿を現しています。
遼黄様と尹穂殿が足止めを…。」

先ほどまでうろたえていた盛策様の眼が真剣な眼へと変わった。

「…わかった。」

「今は爽貴様や公角様が向かっていますので大丈夫ですが、
裏門へ行く前に周角様と烽琉殿と合流を…。」

「…二人とて周角様はまだ幼いから烽琉が一人で戦っているだろうね。
わかった、任せる。」

「はっ!!
では行きます!!」

「ああ。」

ヒュンッ!!

ー周角様寝室ー

周角様のお部屋にはまだ敵が三人残っていた。
烽琉殿は既にボロボロになり、鍔迫り合いだけで精いっぱいだった。
周角様はまだ幼いため本番は避けられてきた為に「殺し」すら全く知らない王子である。

キキーン…ぐぐ…ぐわ!!

「うっ!」

「烽琉!!!」

「隙あり!」

キキーン!

「しぶといな…。」

「周角様の付き人は私しか勤まりませんからね。
今朽ちる訳にわいかないんですよ。」

周角様は常に烽琉殿の後ろに恐怖のあまり座りこんでいた。

ビュン!キィィィン…

「脇が空いてるぜ…」

敵は脇に潜り込んだ瞬間烽琉殿の眼が見開いた。

「しまっ!!!」

ドガーー

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