第三章


[05]誓い


ー王室ー

コンコンコンコン

「入れ。」

頭を抱えていた毘禅様は手を離し顔を上げた。

「失礼します。」

入って来たのはこれだった。

「ほぉ、五年前に教えた礼儀を覚えていたか。
では掌国で兵として闘う決心は着いたのだな?」

これは片足を膝に付き頭を下げた。

「はい。
掌国のため、そして命を拾って頂いた毘禅様には深くお詫び申し上げます。」

「…その言葉、信用して良いのだな?」

「はい。」

「よし、ではお前に名を与えよう。」

「はいっ!」

「名の好評は会議室で発表する。」

「わかりました。」

「それでだ、私からの話は君の事に関して物心の着いた頃から覚えていることを教えて欲しいのだ。」

これは少し暗くなった。

「…わかりました。
俺が覚えているのは、ここより遥か北の方角にある神妙山(シンミョウザン)の頂上で二歳まで暮らしていました。」

「伝説の竜王といわれた『赤龍』の住む山だな。
だがもう村は随分昔になくなり今となっては誰もいないのだが。」

「はい、何処で生まれ誰が両親なのかは全く見当がつきせん。」

「そうか…。
その続きは皆の前でも話せるか?」

「…ただ、余り周りを信用しないほうがと思います。」

「…内部にも敵がいるかもしれないという憶測か…。」

「はい。
お話をできいて今の所は毘禅様と爽貴様だけかと。」

「孫でも駄目か?」

「はい。
孫一族の強さを量りきれない程に慕われているのは重々存じておりますが、先程璃燕先生をお連れする前に内通者を発見しております。
故に、余り広く情報を流すのは如何かと。」

「私が彫雲を止めている間何かあったのか!
何も聞いておらんが!」

「はい、この収集の時に皆の前で報告しようとしているのではと。」

「…わかった。
では、話の前に爽貴を呼んできてもらえるかな?
爽貴にも話しておいた方がいいだろう。」
「…はい。
解りました、呼んで参ります。」

その後三人は話しの続きを耳にする。

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