第三章
[02]北館
爽貴を先頭にこれも付いていく。
王宮は、北館・中館・南館と横平行に並び、真ん中は一階から四階とも建物を突き破るかのように渡り廊下があり、上空から見ると『王』と言う形になっている。
「北館…もうすぐね!」
「おい、何か煙りが出ていないか?」
「大変だぁぁぁあ…爽貴様ぁ?!」
「どうしたの?」
「実は新入りのガキが実験でヘマしやがって、爆発したんだ!だがこの部屋に居てると思うんだがこの煙りじゃあ中にはいれねぇ!!」
「俺が行こう。
爽貴は先に呼んできてくれ。
ここで合流だ。」
「わかったわ!」
そういって爽貴様はそのまま階段へ走っていった。
「…さて、中は何人いているんだ?」
「今日は私と二人だけしかでてないんだ。
若い女が一人中に。」
「わかった。」
これは直ぐさま入って行った。
「おい!出て来ないか、助けに来たぞ!」
部屋の角から角まで回ったが見当たらなかった。
何かがおかしいと勘づいた。
「ッ!」
火の粉がこれの腕に飛んできた。
と同時に何か音がした。
ドアの方に向かうと既に設錠されていた。爽貴様がくるまで誰も通らないだろう。
「…ハメたな。」
その頃爽貴様は息を切らし部屋に着いたばかりだった。
ドアをノックしていると医学の本を読んでいた璃燕先生が返事をした。
ドアは返事と共に勢いよく開かれた。
「はぁ…はぁ。
璃燕先生!お父様が呼んでいます!
急いで王室へ!!」
「…わかりました!
急ぎましょう!」
「その前に彼と合流しないといけないんで一度四階へ行って頂けますか?」
「これはもう焼け死んでる頃だ!」
爽貴様の後ろから声が聞こえ振り返る前に璃燕先生が引き寄せ身柄を保護した。
「お前はッ!彼に何をしたんだ?!
何故ここにいる!」
「璃燕先生かい。
何時もお世話になっているねぇ。
でも、先にはいかせないよ!」
璃燕先生が片腕をあげ、掌を研究者に向けたその時、研究者は前に倒れた。
よく見ると後頭部から血がながれていた。その後ろにはすすを被った彼が立っていたのに二人は気付いた。
「ふぅ…言っとくが力は加減している、死んではいない。
急ぐぞ!」
二人は目を丸くしていたが取り敢えず彼は大丈夫だったことで我に返り、三人揃って王室へと向かった。
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