第38章


[49] 


「ん…」
ロズレイドは目を開ける。
「お目覚めか?ロゼリア─いや、ロズレイド」
「マニューラさん…」
ロズレイドは辺りを見回した。いつも使っていた氷の巣穴で、藁の上に寝かされている。傷も手当てされていた。

「お前の勝ちだ。思わぬ形で光の石を取り返したな、ヒャハハ!」
僕は勝ったんだ。

「せっかくハンデも用意してやってたのによ!」
そう言って、マニューラはキラキラ光る粉の入った瓶を振った。
「それは…?」
「光の粉だ。光に反射して、目を眩ませるもんだ。ウチのニューラが悪かったな。ほらよ、もってけ!」
マニューラが投げた瓶をロズレイドは慌てて受けとめる。
「色々ありがとうございました、マニューラさん」
「ふん、糞カラスに頼まれちまったからな」
マニューラはそっぽを向く。照れているらしい。

「ところで─これからどうすんだ?帰るか?」
マニューラから話を振られ、ロズレイドは久しぶりに想いを馳せる。ミミロップとムウマージはどうしているだろう。そろそろ合流すべきかもしれない。
「僕、帰ります」
ロズレイドは静かにそう返した。
マニューラは頷くと、去っていった。

時は動いていた。

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