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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[58]８月３０日(桂)

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ついに完成した。

我々攘夷党の能力者を結集し、長年かけて作り出した秘密兵器が。

その名も…♪パラララッパパ～ン♪

【ワンコソバーン】!!

これを爆発させて中の薬品がバーンッッ!!ってなったら、その薬品を被った人間はイヌとなり、俺の言う事だけを聞く従順な軍用犬となるのだ。

みていろ、真選組。

[幕府の犬]であるお前達を、文字通り[イヌ]に仕立て上げてやるぞ。わははははは…。

・―・―・―・―・―・

俺は庭師に変じて真選組屯所に侵入した。

脚立で庭の松の木の上に登ると、局長室がバッチリ見えた。

幸いクーラーも使用しておらず、庭に面している襖は開けっ広げてある。

しめた。

あとはこの部屋に幹部四人が集まるのを待つだけだ。

俺はチャンスが到来するのを木の上で待った。

その間延々剪定鋏を動かしていた為、松の右半分だけが丸ハゲになってしまったが…致し方なかろう。

夏の強い日差しにジリジリと照らされながら待つこと一時間。

例の四役がようやく局長室に揃った。

床の間の前に四人が座ったのを確認し、俺は懐から【ヤキソバーン】…あ、間違った。【ワンコソバーン】を取り出した。

｢幕府の犬ども、もはやこれまでだ！

これからは我々の元で飼われるがいい。それっ!!｣

部屋に力一杯投げ込むと、【ワンコソバーン】はモウモウと煙を上げ、四人を包み込んだ。

しばらくして煙が晴れると、近藤はブルドッグに、土方はシェパードに、銀時の嫁はスピッツに、沖田は柴犬に成り果てていた。

成功だ！

コイツらさえ手中に収めれば、もう我々の攘夷活動に水をさす輩はいなくなる。

これで日本の夜明けは我々の物だ!!わははははは…

・―・―・―・―・―・

他の隊士に見付からないうちに四人…いや四匹をかっさらい、アジトへ帰った。

さぁて、これからコイツらに軍用犬としての訓練を施さなくては…とその前に、やはりなつかせる事から始めなくてはな。

それにはまずエサだ。

早速エリザベスと党員に指示し、今日の昼飯の残飯をごちゃ混ぜにした丼を四つ用意させた。

｢ほぉ～ら、お食べ。

ご飯の上にお味噌汁とサラダと野菜炒めが乗ってるよォ～！｣

四匹の前に差し出すと、近藤ブルは飛び付くようにして食べ始めた。

案外コイツは簡単に手懐けられるかもしれない。

土方シェパードは、サラダのマヨネーズ部分だけを器用に舐め取ったかと思うと、後ろ足で丼を蹴飛ばした。

生意気なマヨラー犬め…！

嫁スピッツは、丼の底を覗き見るなりプイッとそっぽ向いてしまった。

そうか。ブランド志向の彼女には[たち吉]の丼で出すべきだったか。

沖田シバはクンクンと匂うと、日向で仰向けになってお昼寝を始めた。

なんて横着な奴らなんだ！

近藤ブルを見習え、近藤ブルを!!

もうすっかり食べ終えて、底を舐め始めたぞ。

俺に向かって尻尾なんて振っちゃって…

お利口さんだな、お前だけは。

・―・―・―・―・―・

よし、[食べるエサ]が駄目なら[こっちのエサ]はどうだ!!

部屋に、うちで飼育している軍用犬二十匹を勢いよく放った。

すると元気の良い我が精鋭達は、奴ら目掛けて駆けて行った。

うちの子達は血統書付きの美男美女揃いだぞ。

こいつらの魅力に負けて、素直にうちの軍用犬となれ!!

しかし俺の計算はまたもや狂わされた。

奴らを誘惑するはずのうちの子達が、逆に奴らに夢中になっているではないか!!

メスは土方シェパードと沖田シバのクールな態度にメロメロだし、オスは嫁スピッツに[たち吉]や[ナルミ]や[ノリタケ]の丼を貢いでるし!!

…その傍らで、近藤ブルがホームシックで泣いてるし。

なんだこれは。

イヌになってなお、まだ俺の事を愚弄するか!!

甘い顔を見せ過ぎたようだな。

こうなったら厳しく躾てやる!!

｢おい、新入り四匹！

そこに座れ。お座り!!｣

パシッ！

ムチで床を打ち付けた。

今までの犬達はこれ一発ですぐにおとなしく従うようになった。

今回もそれでいけるはずだ。

しかし奴らは全く言う事を聞く気配がない。

どういう事だ？

再度床にムチを打とうとした瞬間、土方シェパードと沖田シバと嫁スピッツがアゴをしゃくった。

すると、うちの子二十匹が一斉にこちらへ向かって襲いかかってきたではないか!!

｢うわわばばば…バカ者、何をするんだ!!

俺だぞ、お前達のご主人様だぞ!!｣

しかし彼らは一向に下がる気配がない。

俺の脚や腕に噛み付いて来る。

｢あぁー痛たたたたーッッッ！

クッソー、貴様ら…!!｣

三匹は噛み付いて離れない我が子達を遠目に見ながら、ニヤリと笑みを浮かべた。

やはり無理だ。

コイツら、タダもんじゃない。

俺は諦めて懐から解毒用爆弾【ワンダフル】を取り出し、奴らの首にくくりつけて外へ逃がしてやった。

おのれ真選組め…

覚えてろ！

次は【ニャンバルカン】をお見舞いしてやるからなァァァ!!

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