第43章


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 だが、先にも話した様にその冷徹な様が周りを恐れさせ、不和を招いて士気に影響すると、
已む無く神も悪魔も恐れぬこの無法地帯に行き着いた。
 他の奴等の経緯と来たら、本当にどうしようもないひどいものばかりだった。
 一部を紹介すれば、例えばスカーなら、前の部隊で監察・指導役にあたるポケモンが雌だったのをいいことに、
それを持ち前の手癖の悪さで誑かして、日頃の素行の悪さや命令違反などの不利な報告を揉み消させたり、
自分のいる部隊をあまり危険な任務に駆り出させないよう上手く取り計らわせていた。
だがある時、逢瀬の途中をそのポケモンの持ち主である怖い怖い上官殿に見つかり、
その後すぐに芋づる式に全てが発覚。瞬く間にそのポケモンと引き離されて、ここに叩き込まれたらしい。
 他にも、とにかく功を立てることに貪欲で、自分だけで勝手に玉砕しておけばまだしも、
その雄弁な弁舌によって他のポケモン達まで巻き込んで奮い立たせ、無茶な突撃を扇動して多くの犠牲を出した、
蛮勇なピジョット――頭の長い飾り羽が綺麗な大きな鳥だ――とか、
戦闘能力だけは完璧だけど、戦う相手の選り好みが激しく、取るに足らない雑魚しか居ないと見れば、
自軍の危機でも梃子でも動かずサボり呆けるけど、敵方に強者と認める者が居れば待機命令中でも見境無く突っ込み、
重要な作戦を台無しにした、戦闘狂いのバンギラス――刺々しい岩の鎧に身を包んだ二足の怪獣だ――とか、
口に入りさえすれば机でも椅子でも見境無く何でも食らい、とある護衛任務の際に途中で空腹の限界に達して暴走、
あろうことか護衛対象を自分の腹の中へと誤送した、悪食マルノーム――何とも名状しがたいんだが、
膨らんだビニール袋のお化けみたいな奴だ――とか、
普段は紳士ぶっているけど、周りからしたら理解できない些細なことで直ぐに激昂して、
小火じゃすまない騒ぎを起こした、ぷっつんブーバーン――両腕が炎を吹き出す大砲みたいになった、
でっぷりとした体系の怪物だ――とか、まだまだそれはそれは愉快な仲間は色々居たけれど、
話し始めたらきりが無いからこの辺でやめよう。



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