第43章


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『うん、メリープの綿毛にアリアドスの糸、モジャンボの蔓とチルタリスの羽毛、
後それから、えーと、何だっけな……まあとにかく、他にも諸々色々様々な
ポケモン達の優れた部分を纏めて混ぜて織り込んだの。凶暴なガブリアスでもこれを力ずくで
引き裂くのは中々苦労するであろう逸品だよ』
”それが本当なら、随分と貴重な代物だろう? 簡単には受け取れない”
『うん、まあ、価値の分かる人間に売れば、一財産築けちゃう位にはね。
でも、いいのいいの、ボクだったらやろうと思えばいつでも幾らでも用意できるし』
”一体、どうやって?”俺は疑わしく首を傾げた。
『んっふふー、知りたい?』わざとらしくミュウはもじもじしてみせる。
『だってそれはボクの一部、け・が・わ、だもん!』
”なっ!?”
 ぎょっとして声を上げる俺に、ミュウはいたずらっぽく片目を閉じて微笑んだ。
『ボクの体にはありとあらゆるポケモン達の遺伝子が宿ってるって言ったでしょ。
応用しだいじゃこんな事も出来ちゃうの』
”だ、大丈夫なのか、こんなことして”
 恐る恐る俺はミュウと布を交互に見た。正体を聞いた途端、何だか布がとても生々しい物に思えた。
『平気、平気。別に生皮をそのままべりべり剥がし取ったわけじゃないし、
ボクにとったら毛を一本抜く程度の手間だよ。一度に沢山はちょっと辛いけれど。
というわけだから、気軽に使ってちょうだい。何でもいいよ、ランチマットにしたっていいし、
風呂敷にも使えるかもね。あ、でもさすがにぞうきんはやだなあ。もう切り離したものとはいえ、
自分の体がぞうきん臭くなるなんて耐えられないよね』

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