第43章


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 俺の質問に、ミュウは愉快そうに小さく笑う。
『そうだよね。そんな凄い子だったら、もっとこう雲の上だとか、深い海の底だとか、
溶岩グツグツの地底奥深くだとか、もっとこうアブない場所に暮らしているのが普通さ。
だからあえての灯台下暗しなの、ふふふ。なんだかさぁ、こんなところに居ると、
まるでとある怖いお話を思い出すなぁ。君は読んだことある?
 とある片田舎に起きる世にも恐ろしい事件! その原因、黒幕はなんと村の教会の牧師と、
それを陰で操る教会の隠された部屋に潜む邪悪で冒涜的な怪物、悪魔でしたーってヤツ』
”ああ。それならちょうど昨日、子ども達と一緒にね。その化け物も最後は村を偶然訪れていて
事件に巻き込まれてしまった勇気ある主人公の若者によって封じられるんだったかな”
『そうそう。でも、ま、ボクの存在も当たらずといえども遠からず、似たようなものかもしれない』
 どういう意味かと俺は少し眉を潜めてミュウを見つめた。ミュウはニコニコと微笑む。
『おっと、焦らないでよ。別にボクはその悪魔みたいに村の人々を食べたりとかはしないもの。
それに、色々と恐ろしい目にあってきたのは、どちらかといえばボクの方だもん。
あ、別に牧師やシスターちゃん達にひどいことされてるってわけじゃないからね。
彼らはボクにとてもよくしてくれているよ。特に牧師には感謝してもしきれないくらいさ。
――そろそろ本題に入っていこうかな。ボクがこんな場所に隠れ潜んでいなけらばならない理由。
それは、ある者達に追われているからなんだ。そして、その一端には君も少なからず関わっていた』

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