第43章


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 歩行訓練はその後も順調に進み、足取りも随分と安定して歩めるようになっていた。
そんなある日の午前中、彼女が何だかご機嫌な様子で部屋へとひょっこり顔を覗かせて、
〈おはよう、外は雲ひとつ無い良い天気ですよ! 前にした約束覚えてる?
 あなたの足取りも大分しっかりしてきましたし、今日は村を一緒にお散歩しましょ〉
 村を案内がてら一緒に散歩をしようと俺を手招いた。
 そういえばそんな約束をしていたと思い返し、”ああ”と俺は頷いてまだ寝起きで
気だるい体を奮い起こして、誘われるまま彼女の待つ部屋の外まで出て行った。
 俺が出てくるのを見ると、彼女は後ろ手に隠していた編み籠をいそいそと取り出して見せた。
”なんだ?”
〈今日のために用意したお弁当。中身は、いつもとあまり代わり映えしないけれど……
お日様の下で食べればきっといつもより美味しく感じるはずだわ〉
 怪訝に籠の中身を尋ねる俺に、彼女は今日の為に用意した弁当だと微笑んだ。
”なるほど。悪くないな”
〈ふふ、でしょ?〉
 ところどころギシギシいう古ぼけた木製の廊下を彼女の少し後ろからついて渡り切ると、
少しばかり広まった空間へと出た。整然と一方向に向かって並んだ長椅子や、
質素ながらあちこちに施されている厳かで独特な雰囲気の装飾からして、
ここが所謂、神々というものを祀る聖堂や礼拝堂といった類の場所なのだろうと判断した。


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