第41章


[111]


「……いいか、この事は誰にも言うんじゃねーぞ」
 鬣を氷でこしらえた櫛で整えながら、ばつが悪そうにマニューラはぼそりと言った。
「はい、心得ています。……あの、やっぱりマニューラさんも一緒に三十九番道路まで行きませんか。
この先また先程のように蜘蛛が急に現れることがあるかもしれませんし」
 ぽつりと最後に弱みを付け加えてロズレイドは提案する。
「ほほう、このオレを脅迫しようってか、ロゼちゃんよォ?」
 苛立ちながらも少し愉快そうにしてマニューラは睨み返す。ぎくりとしてロズレイドは首を横に振るった。
「い、いえ、別にそういうわけでは」
「クク、いいさ。オメーもイイ性格してきたじゃねーか。舎弟分の立派な成長として捉えてやるよ。
その成長に免じて、今回はテメーのお節介に乗ってやる。……その代わりまたさっきみたいに奴らが現れたら、
しっかりと追い払えよな!」
「はい! お任せください。あの”クソッタレ”どもが現れても、指一本触れさせないようにお守りいたします」
 びしりと構えるロズレイドを、余り調子に乗るなとマニューラは小突いた。


[前n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.