〜第5章〜


[32]夜7時05分


「お母さん……よかった。いなくなっちゃいやだよ、お母さん……」

白猫が彼女の前に現れ、飛びついた。
優しく背中を撫でる彼女。

「お母さんがいないと、私は何もできない……お母さんがいるから、私は皆を殺せるんだよ……?」

白猫は無言のままだ。
欠伸をするかのように口を開けた。

「ハレンは、あの2人と一緒にいるみたいだね。じゃあ……残りはあと2人……。まあ……見当はついてるけど」

白猫を再び地に下ろし、少女は立ち止まった。だんだん小さくなっていく姉の背中を、目を細くしてじっと見つめていた。

彼女と白猫の背後には

白猫が捕まえたのだろうか

ネズミが無惨に引き裂かれ、その死骸をついばむカラスがいた。


その夜は……







雲に覆われ空は何も見えなかった……。

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