新月まだ酔い醒めぬ頃


[07]上弦に響いた、声。


まだ、僕は死んでない。
彼女も。・・・・・





それからと言うもの、
結構仲良くなった。





『ねぇ、
ジュース買いに行こうよ。』





『またかよ(笑)!!』



『いいじゃん!
喉、乾いたんだから。』




『わ、分かったよ。』




こんな会話。


あれほど、
「友達」という枠を
拒絶していながら。

今では、
周りから見れば
それはもう立派な友達だった。




けど、
やっぱり「死」と言う
ものはやって来る。


どう

あがいても、

どう

抵抗しても。


最終的に行き着く場所。



「死」










『ねぇ、・・・・
もし生きれたらどうする?』



不意を突く彼女。



『えっ、・・・
そりゃあまぁ、・・・・・・・・
もし生きれたらの話だけど。・・・幸せになりたい。!』





『どういう風に、
幸せになりたいの??』




『え、えっ!』



質問責め。



『う〜ん、・・・
まずは、学校卒業して就職して
自分で生活できるようになったら。
結婚して、家族になりたい。』






『おもいっきり、普通だね。(笑)』







『悪いかよ!(笑)
じぁ、君はどうする?』





『どうするって?』







『生きれたらという話・・・・
てか、君は死ぬ訳じゃないか・・・・・・・・ごめ・』


すると、言い終わる前に・・・・



『私も幸せになりたい。・・・・』







『へっ!?』






『私も、・・・
私も幸せになりたい。!!!』





と、言い終わると。
急に泣き出した。


響く、病院の廊下まで。・・・・・・





『大丈夫、幸せになれるよ。・・・・』



と、言って手を取ってあげるけど。
僕はそれ以上言葉が出なかった。・・・・





それから、数時間が経った。


もう彼女は寝ている。




すると突然、
強い咳が僕を襲った。
手で塞ぐが、
手のひらには
「血」




そうかぁ、
もう、
そろそろかなぁ。



呼吸は難しくなって来る。


僕はナースコールを押さなかった。



今まで生きてきて、
後悔ばかりだったけど、
最後に「友達」が出来て良かった。

出来れば、
最初の「彼女」が良かったなぁ。・・・・



僕は目を閉じた。・・・・






綺麗な三日月になってるのだけど。


苦しくて、苦しくて。

何も見えないんだよ。








続く。







by しょういた つき


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