第41章


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 あっしらを見兼ねた様にマフラー野郎はやれやれと溜め息をつく。
「オレ、あいつら嫌いだ! 助けて、ネズミー」
 駆け寄って再び後ろに隠れようとする子ニューラに、マフラー野郎は真直ぐに視線を合わせて向き合った。
「もう少し君の話を聞いてあげたいのは山々なんだけど、あの二匹が言っていることも大事なんだ。
あまりここに長くいるわけにはいかないし、コリンクを助けに行きたいのは本当だ。それに君もお父さん達の待つ安全な所まで
無事に送り届けてあげたい。だから、分かるところまででいいから、教えてくれないか?」
 ゆっくりと言い聞かせるようにマフラー野郎は話す。子ニューラはしばらくの間悩んだ後、こくりと静かに頷いた。
「……うん、分かった」
「いい子だ」
 マフラー野郎はにっこりと微笑んで、子ニューラの頭を撫でた。子ニューラは気恥ずかしそうにしおらしく俯く。
自分達の時とはあまりの態度の違いに、あっしとニャルマーは陰で「けっ」と示し合わせたように毒づいた。
「まずはコリンクのことだけど、ニャルマーの言う通り君のお父さん達が襲ったトラックに、
青い毛の色をした君と同い年ぐらいの山猫が載せられていた筈なんだけど、俺達が来た頃にはもう檻が空っぽになっていたんだ。
どこに行ってしまったか知らないかな?」
「そいつなら、親父達が連れてったぞ。親父達は、あの嫌な黒服共から奪い取れたものがポケモンだった時は、
必ず里まで連れて帰って来るんだ。」
「まさか、そのまま食っちまうってわけじゃないだろーねッ!?」
 最早、本性を隠す必要も無く、ニャルマーはがなるように問う。子ニューラはムッとして睨んだ。
「そんなことしねーよ! そりゃオレ達は獲物を襲って喰う事もあるけど、黒服共から奪い取って助けた奴らだけは、
ケジメとか何とかいうので絶対殺して喰ったりしない様に皆にも親父は言ってんだ。元居た場所に帰せる奴は帰すし、
帰る場所の無い奴は里で面倒見てる。だから、そのコリンクとか言う奴も絶対無事だ!」

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