第41章


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 マフラー野郎は電流を体に纏わせながら大きく飛び上がり、稲妻のような派手な音と光と共に
両者の間へと割って入った。今にも飛び掛らんとしていたイトマル達も突然の轟音と閃光に、
はたと動きを止める。
「大丈夫かい?」
 庇うように両手を広げながら、マフラー野郎は背中越しに子ニューラへと問い掛ける。
「う、うん……」
 ぽかんと放心しながらその背を見上げて子ニューラは答えた。
「必ず守る。だから安心してくれ」
 マフラー野郎は優しく子ニューラに言い、周りのイトマル達をきつく睨め付けた。 
「君達も生きるためにしている事だというのは分かる。だけど、何もこんな小さな子どもを相手に
そんなに本気になることはないだろう。悪いがここは退いてくれないだろうか」
 マフラー野郎は一応の説得を試みるが、イトマル達は応じる気配もなくぎちぎちと顎を噛み鳴らして
怒りを露にしている。その内の一匹が痺れを切らした様子で額に生えた鋭い毒針を突き出し、
マフラー野郎達に襲い掛かった。
「駄目か、仕方ない――ッ!」
 舌打ちし、マフラー野郎は飛び来るイトマルを電撃で撃ち抜く。イトマルは大きく吹き飛ばされて地に転げ、
ぴくぴくと足を痙攣させて気絶した。それが口火となってイトマル達は次々と飛び掛かり出し、
マフラー野郎も強力な電流を振るって応戦する。

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