第41章


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 そう言って、マフラー野郎は宥める様に微笑みかける。ニャルマーは不服そうにしながらも、
うろたえる言葉を呑み込んで押し止めた。
 それにしても、このマフラー野郎がぶっ飛んだ奴だってのは十分に分かっていることだが、
ニューラ共よりも更に残忍だというマニューラ……猫と鼠がばったり出くわして無事に済んだ挙句に
友達になるだなんて、一体どうまかり間違ったらそんなことになりやがるのやら。
まさかどこかのトゥーンアニメよろしく――下っ端野郎がぼんやりと何気なく眺めているのを、
あっしも横で見ていた――仲良く喧嘩している内に奇妙な友情が芽生えでもしたんだろうか。
 何にしても、またそんな風にコリンクを攫った奴とも打ち解けられるとは限らないし、
もう一つ根本的な問題があった。
「ところでよ。もし、あのガキが生かされたままニューラ共に連れて行かれたとして、
どうやって後を追うってんだ? 奴らの本拠地は団員共だってはっきりとは掴めていねえんだぜ」
 あっしは苦言を呈する。団員達もやられっぱなしではいられないと、ニューラ共の巣窟を見つけ出して
一網打尽にしてしまおうと目論んだことがあった。しかし、奴らは神出鬼没の上、逃げ足の速さたるや
まさに電光石火の如しであっと言う間に行方をくらましてしまう為、追跡もままならないのだ。
「それこそ草の根を掻き分けるようにしてでも痕跡を捜し出していくしかないだろうね」
 マフラー野郎は伏せるようにして地面を探り出す。そして、雑草が踏まれて微かに倒れている箇所と、
土の上に薄っすらとついた爪の跡を見つけ、それが続いていく先を手で辿って指し示した、
「……テメーのその目ざとさは褒めてやるがよ、一々地面に這いつくばって進んでいたら
日が暮れるどころじゃすまねえぜ。もしも途中で一雨でも来たりしたら、その跡だっておじゃんだ」

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