第41章


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 ――「なあドン、もしかして、それが……!」
「今のキッサキのマニューラじゃねえかってかい? 残念ながらハズレだ、エンペルト。まあ、大きく関係しては
いるけどな。そもそも、あっしらが進化したのは、シンオウに来てからさ。あっしも、クソネコのヤツも、
それぞれの群れで一から成り上がって、ドンカラスとマニューラの座を手にしたんでえ。あいつらの為にも、
どんなに辛かろうとあっしらは精一杯に生きてかなきゃならねえって、ひたすら我武者羅な日々だった」――

 ・

「それはたぶん、マニューラってポケモンだよ。この地方にはまだあまり知れ渡っていないのかもしれないけど、
ニューラには進化系がいるのさ」
 空っぽの檻を何やら探りながらマフラー野郎は答えた。
「アタシも名だけは聞いたことがある。普通のニューラよりも更に輪をかけて狡猾で残忍だってこともね。
もしそんな奴らにコリンクは連れていかれたんだとしたら……。団員共が連れていったって方がまだ救いがあるよ」
「うーん、どうも、コリンクはニューラ達の方が連れて行った可能性の方が高いかもしれないよ、お嬢さん」
 言って、マフラー野郎は壊れ落ちていた南京錠を拾い上げて俺達に見せた。その表面には深々とした三本傷が
刻まれている。
「――ッ! なんて、ことだい……」
 愕然として、ニャルマーはへたり込む。
「まだ希望を捨てちゃいけないよ、お嬢さん。まだコリンクが死んでしまったと決まったわけじゃないんだ。
それに連れて行かれたところで、殺されてしまうとは限らない」
「そんなこと言ったって、ニューラ共は肉食のハンターだよ。悪い想像をするなって方が無理さ!」
 ニャルマーは狼狽して言った。
「……昔、俺にはマニューラ族の友達がいたんだ。確かにがさつで乱暴なところもあったけれど、
根っから悪い奴じゃなかったし、いざって時にはとても頼りになって、何度も助けたり助けられたりしたっけ――。
まあ、つまりは何が言いたいかって、その種族ってだけであまり偏見を持つのは良くないってことだ」


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