第41章


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 祈るように卑屈な笑みを浮かべ、あっしは奴の出方を待つ。奴は、くつくつと堪えきれぬように嘲った。
「やはり鳥頭に思いつく言い訳など、その程度か。お前が商品共と逃げる相談をしていたのは影で聞いていた。
そこからどんな弁明をしてくれるのか楽しみにしていたんだがね。もういい、遊びは終わりだ。こい、お前達」
 ヘルガーが声をかけると、物陰から少し前まで同僚だった三匹のポケモンが姿を現した。一匹目は、
丸い体系をした二足歩行の黄色いブタかカバみてえな姿をしたポケモン、スリープ。二匹目は、
全身筋肉質な人型のポケモン、ワンリキー。三匹目は、腹側以外の全身を硬そうな甲殻に覆われた
ネズミに似たポケモン、サンドだ。
「クソッタレ……!」
 ――もう、お終いだ。あっしはもうその時点で全て諦めていた。
「商品を外まで逃がしたなんて失態を、主人達に報告するわけにはいかない。手早く片付けるぞ。
その前に、スリープ!」
 ヘルガーの号令と共に、スリープが両手を突き出して念じる。
「うわ、わ……?」
 悲鳴に振り向くと、コリンクが何か見えない力に持ち上げられ、あっと言う間に奴ら側に引き寄せられていった。
「こいつは既に売約済みなんでね。トラックの発送も間近だ。丁重に主人達のところへ連れて行け、サンド」
 こくり、とサンドは頷き、爪でがしりとコリンクを押さえつけて背負う。
「や、やめろー!」
 コリンクはもがきながら必死の放電をするが、サンドはものともせずあっと言う間に走っていった。


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