第38章


[43] 


「ヒャッハー!元気でやってるか、ロゼリアちゃん?」
マニューラは相変わらず陽気に尋ねる。加えてなぜか、今日はとても機嫌が良いようである。
「はい…」
沈んでいるロゼリアにマニューラは何か言おうとしたが、ふと枯れた葉が散乱している氷塊に目をやった。
「葉っぱで氷に対抗しようってか?ヒャハハ!無茶するぜ!」
「そうですかね…」
あっさり笑い飛ばされ、さらに意気消沈した様子のロゼリアに、マニューラは不意に珍しく真面目に呟いた。
「葉っぱ一枚一枚は弱ぇもんだが、束になれば─そうさな、嵐のように囲んじまえばちっとは効くかもな?ヒャハ!」
ロゼリアは顔を上げる。かつて読んだ人間の書物に、そのような技が載っていた気がする。
「ありがとうございます、マニューラさん!」
少し元気を取り戻したロゼリアに、しかしマニューラは信じられないことを告げた。
「まぁ明日までに精々頑張れよな、ヒャハハ!」

「…え?」
ロゼリアは一瞬戸惑い、マニューラを見上げる。
「明日、お前はあのニューラと戦うんだよ!
もう話はつけてある。じゃあな!ヒャハ!」
マニューラは陽気に手をふりながら去っていった。


「えーーーーー!?」

少したって、ロゼリアの雄叫びが巣穴に響いた。

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