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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[95]２月２７日(銀時)

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万事屋(うち)のソファーに腰掛けたその青年は、うつ向いたまま俺達に相談した。

｢僕、やっぱりホストに向いてないんですかね。｣

泣きながら話すその青年は名を[野武流(のぶなが)]と言い、狂四郎の店【ホストクラブ高天ヶ原】で働く二十歳のアイドル系の男前だ。

もちろんその名は源氏名。

しかし入店一年、なかなか芽が出ず苦労しているらしい。

｢女性の喜ばせ方が分からないんです。

どうして欲しいのか、男のどんな仕草が好きなのか、どんな言葉をかけてもらいたいのか…

お願いです。

どうか僕を、一流のホストに仕立て上げて下さい!!｣

広く開けた胸元に光る金のネックレスが、鈍い光を放った。

[女を喜ばす術]など、ホストの真骨頂だろうが。

そんなもん街の万事屋なんかに頼るんじゃねェよ、まったく。

だが背に腹は代えられねェ。

金の為、呆れながらも俺達万事屋はこの依頼を飲んだ。

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まずは身近な女を訪ね歩き、[男に言われて嬉しい言葉]をアンケート調査する事にした。

最初は手近なところで新八の姉ちゃんから訊こう。

新八のうちでもある恒道館の古びた門をくぐり、お妙を呼び出してもらい、例の質問に答えてもらった。

｢[男に言われて嬉しい言葉]？

そうねェ…｣

お妙は天井を仰ぎ見て、頬をやや赤く染めながら答えた。

｢『あなたは太陽のコマチエンジェル

やや乱れてよＳＡＹイェイイェイ!!』

…かしらね。｣

オイオイ、どっかで聞いた事あるぞ、ソレ。

まんまあのロックの大御所二人組の代表曲じゃねーか!!

｢私の耳元で囁いてくれたりしたら最高！

もちろんゴリラだったり、ストーカーだったり、真選組局長だったりっていう男じゃなくて、なんかこう…『シュッ』とした男に限るけどね。｣

ゴリラでストーカーの真選組局長って、丸々アイツの事だろーが。具体的過ぎて逆に可哀想になって来たよ、近藤サンが。

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次に、以前面倒見てやったハム子のところへ行ってみた。

マムシの蛮蔵のダメ息子・太助と付き合ってたけど、今はどうしてんだろな。

｢つーか、アタイの名前は[ハム子]じゃなくて[公子]よ。

なに面白い感じにしてんのよ！｣

相変わらずギャル系なハム…あ、いや公子は、付けマツゲを接着しながら例の質問に答えてくれた。

｢[男に言われて嬉しい言葉]？

う～ん…

『お前は俺の財布』とか、『金貸して』とか、『マジヤバイんだけどコレ、マジヤバイよ、どれぐらいヤバイかっていうとマジヤバイ』…とかかなァ。｣

ダメだ。

やっぱコイツ、相変わらずの典型的なヒモ女だ。

たぶん太助とも別れてねェな。

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｢…いや、ここは違うでしょう、銀さん。

ちょっと趣旨が違って来ますってば。

だからやめときま…って、あっ、ちょっちょっ…銀さん!!｣

新八の止めるのも耳に入れず、俺と神楽はオカマの聖地・【かまっ娘クラブ】へ入った。

もちろん従業員は全て男だが、心根は本物の女以上に女らしい。

だから本物の女に訊くよりも、はるかに正確なデータが採れるような気がし、店に入ったのだ。

ここのオーナーである西郷特盛は、タバコをくゆらせながら答えた。

｢そうさねェ…

『本物の女なんかよりよっぽどカワイイよ！』

だわね。

ウチらの業界では、この言葉を励みにオカマやってるっていう娘が沢山いるわよ。｣

この見るからにオッサンな西郷特盛が、お客にこのセリフを囁かれて赤くなっるいる場面を思わず想像し、この店に立ち寄った事を猛烈に後悔した。

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街中を歩き回り、女達の貪欲で夢見がちな答えを集めまくった。

しかしこれで任務は終了したわけではない。

お妙も言っていたように、見た目から女性ウケしなければこの言葉も意味が無いのだ。

夕暮れ時となり、かぶき町にも怪しいネオンが光を放ち始めた。

明日は野武流のルックスをいじってみてやろうかな。

ウヒヒ…

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