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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[89]１月２９日( 〃 )

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｢銀時、いるか。

邪魔をするぞ。｣

玄関で声がした。

この神経質そうな声質は、おそらくアイツだろう。

｢おぅ、勝手に入れ、ヅラ。｣

｢ヅラじゃない、桂だ。｣

・―・―・―・―・―・

桂の事だ、どうせまた攘夷活動の勧誘か何かだろう。

ホント飽きもせずよく来るよなァ、ったく…。

｢銀時。

実はだな、昔馴染みのお前にちょっと聞いて欲しい事があるんだ。｣

ケッ。どーせまた新しいテロの方法を考えただの、新型爆弾が完成しただのだろ。

｢俺は昨日から、どうも変なんだ。

何かこう、息苦しいような…胸が締め付けられるような…キュンッ！みたいな…｣

心なしか、ヅラは頬を赤く染めている。

｢狭心症か心筋梗塞だろ。
迷わず医者に行け。｣

俺が提言を投げ掛けると、隣にいた宇宙生物がプラカードを掲げた。

【恋】

…は？【恋】!?

ヅラが恋したってか。

いやいや無いって、ソレは。ヅラに限ってソレは無いわ。

｢この症状は、俺があの娘に出会ってからなんだ。｣

えっ、｢あの娘｣？

じゃあやっぱり宇宙生物の言う通り【恋】なのか…？

｢彼女はこの寒空の下、路上でチラシを配っていた。

そこを俺が通りかかった時、急に突風が吹いて、彼女のチラシが飛んでしまったのだ。

それを拾うのを手伝ったら、彼女が『是非お礼がしたい』と言って、俺の手を引いて、『うちにいらして下さい』と…｣

『うち』だとォォォ～!?

会ってその日に『うち』にご案内だとォォォ～!?

さすがかつて【狂乱の貴公子】と呼ばれた程の男前だ。チクショー、良い思いしてやがるゼ！

｢そして彼女に連れられて『うち』に行くと、黒服の男と沢山の女性がズラリと並んで出迎えてくれてな。

彼女によると、黒服は[ボーイ]という名の使用人で、女性達は全部[お姉さん]なんだそうだ。｣

…アレ？それってホントに『うち』？

｢そして俺は彼女専用の机に通された。

学習机にしては低くて、ライトも薄暗かったが…

そういえば、彼女はこの机に座る際、『３番テーブル入りま～す』と言っていたが、アレは何かの呪文だろうか？｣

…やっぱり。

ヅラ、残念だがそこは『うち』は『うち』でも『家』じゃない。

｢彼女は俺を、野菜スティックや果物の盛り合わせや酒でもてなしてくれた。

そうそう、『二人が出会った記念日だから』と特別な酒も用意してくれたぞ。

銘柄は何だったか…とにかく発泡性のピンクの酒だった。｣

あ～やっぱり。

それ『うち』は『うち』でも『家』じゃなく、『店』だわ。

しかもお前、最高額のドンペリピンク飲まされてるじゃん。

｢その酒をありがたくいただいていると、彼女が、その…

俺の太モモに手を置いたんだ。

そして耳元で『あなたに会えて良かった』って…｣

ネェチャンは店のマニュアルに従ってるだけだろーが!!

｢そして彼女が『触ってもいいよ』というので、遠慮なく触らせてもらった。｣

えっ!!お触りアリなの!?俺も誘えよ～、そんな時には!!

｢いやぁ～良かったぞ。

大変センスの良い調度品ばかりの『うち』で、とりあえず南蛮渡来の壺から触っておいた。｣

…って、壺かよ!!

｢それから彼女に勧められるまましこたま飲んで、気が付いたら朝になっていた。

…つまり、会っていきなり[二人で朝を迎えた]という事になる。｣

イヤイヤイヤイヤ、ならんならん。

その言葉は、目覚めてベッドの上だった場合ね。

｢そして彼女の使用人に[お礼金]を支払い『うち』を出る時、彼女が俺を引き留めて悲しそうな瞳でこう言うんだ。

『きっとまた来てね。そうすれば私、家族に仕送り出来るから。』

と…｣

｢…オイ、ちょっと聞くんだが…お前その彼女の『うち』で何て呼ばれてた？｣

｢名前？

『シャッチョサン』

だが？｣

…ヅラ、お前[外国人パブ]で良いカモにされたな。

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