†*†*†*†*†*†*†*†*

《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

†*†*†*†*†*†*†*†*

[79]12月22日(神楽)

†*†*†*†*†*†*†*†*

何でだろう。

今夜はなかなか眠くならないアルヨ。

コーヒーも飲んでないし、お昼寝もしてないのに…。

押し入れベッドの中でゴロゴロと寝返りを何度も打っていると、リビングから銀ちゃんと華蓮ちゃんの声が聞こえて来た。

｢うちの子達のクリスマスプレゼント、何にしようかしらね。｣

｢そうか、クリスマスかァ。

そうだなァ～…｣

[うちの子]って、アタシや新八や定春の事アルか!?

｢とりあえず神楽は酢昆布一箱でいいだろ？

で、新八は…｣

エッ、酢昆布ゥゥゥ!?

そりゃ酢昆布は大好きだけど、クリスマスプレゼントにリクエストするほどじゃないネ!!

気が付いたらアタシは押し入れの襖に耳をつけて盗み聞きをしていた。

｢酢昆布はいつでも食べられるでしょ！

クリスマスなんだから、もっと別の物にしてあげましょうよ。

例えば…｣

例えば!?

｢大江戸遊園地のペアチケットとか。｣

ペアチケット！

欲しいアルヨ!!総悟と行きたいアルヨ!!

グッジョブ華蓮ちゃん!!

｢ハァァァ!?ペアチケットだとォォォ!?

バカお前、あんなもん神楽にやってみろ。当然真選組のドＳ王子と行くに決まってんだろが！

遊園地、しかもクリスマスっつったらなァ、もうみんな心ウキウキ舞い上がっちゃって、そりゃもう村の鎮守のお祭りどころの騒ぎじゃねぇんだぞ！

そんなところに二人で行かせてみろ。

えらい事になんだろーが!!｣

当たり前アル！

つーかわざわざえらい事になりに行くんだよ、バーカ!!

そんな一人でヒートアップしている銀ちゃんに、華蓮ちゃんがシレッとして聞いた。

｢えらい事って？｣

改めて追及されて困った銀ちゃんは、しどろもどろで答えた。

｢え、いや…その…アレだよ。

おてて繋いじゃったりとかさァ、なんかオバケ屋敷で『キャー』なんてしがみついてみちゃったりさァ、あと観覧車で…その…｣

｢チューしたりとか？｣

チューはするでしょ。

てゆーか、観覧車はそれをする為に作られたようなもんアル。

｢ソレ…ソレだよ。

そーなる事は分かってんだ。

だから絶対ダメ！

お父さん絶対許さないからね!!｣

誰がお父さんアルか!?

アタシはお前の汚いアナログスティックから製造された覚えなんか無いアルヨ!!

｢何言ってんのよ。

アンタ昔、クリスマスの日に私に何したっけ？

覚えてないとは言わせないわよ。｣

｢……。｣

｢ハイ、じゃあ神楽ちゃんへのプレゼントはペアチケットで決まりね！｣

何アルか!?一体二人のクリスマスに何があったアルか!?

でもまぁ酢昆布一箱は免れたから良しとするネ。

｢新八君はやっぱりお通ちゃんグッズかしらね。｣

｢いや、アイツの事だからそれは全て揃えてるに決まってるよ。

だからやっぱ別の物にしないと。

え～と、そうだなァ…｣

銀ちゃんはしばらく間を置いて、言った。

｢うん、コレがいい。

実用的で。｣

何アルか？

｢やっぱ思春期のオトコノコにはコレでしょう。

ティッシュとエロ本！｣

バカーーッッッ!!

そんな事言ったらまた華蓮ちゃんに叱られ…

｢あー、そうよね。

お年頃のオトコノコにはそれが一番ありがたいかもね。

よし、決定！｣

って、アンタも賛成か～～い!!

｢定春は何にしようかな。｣

｢定春かァ。

最近また成長して、首輪がちょっとキツくなったみたいなの。

だから新しい首輪は？｣

さすが華蓮ちゃん。よく気が付く嫁ネ。

｢それがいいな。

また赤にしような。

アイツはあの色が一番似合う。｣

アタシもそう思うネ。

良かったね、定春。

新しい首輪でお正月が迎えられるヨ。

｢ところでお前、アレ欲しいんだろ？

何とか金の都合もつきそうだから、買ってやってもいいぞ。｣

銀ちゃん、[アレ]じゃ分からないアルヨ。

ちゃんと物の名前を言わないと！

｢えっ、本当に!?

きゃあ～嬉しい！

ありがとう、銀時!!

じゃあ銀時にはアレあげるね。｣

エェェェー!?

二人共[アレ]で通じるアルか!?

何で？何で[アレ]で分かるアルか？？

二人はリビングの電気を消して、寝室へと消えた。

アタシもまた布団にもぐり込む。

そういえば普段も二人は、｢アレどこ？｣や｢アレ持ってきて。｣で会話している。

もしかしてこれは【夫婦】だから分かり合えてるのかもしれない。

夫婦って不思議。

[アレ]で通じたり、ケンカしてもすぐ元通りになったり、臭いオッサン臭もいい香りに思えてきたり…

いつかアタシと総悟もそうなれるのかな。

その答えが出る前に、アタシの瞼は重くなって閉じた。

†*†*†*†*†*†*†*†*
[前㌻] [次㌻] ［*］ﾎﾞﾀﾝで前㌻
［#］ﾎﾞﾀﾝで次㌻ †*†*†*†*†*†*†*†*
[←戻る] †*†*†*†*†*†*†*†*
†*†*†*†*†*†*†*†*