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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[77]12月12日(沖田)

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ここしばらく仕事が忙しく、なかなか休みが取れずにいる。

従って神楽をどこかに連れて行ってやる事も出来ず、淋しい想いをさせている今日この頃だ。

可哀想だとは思っている。

しかし仕事ばかりは放り出す訳にもいかず、神楽の｢私は大丈夫ネ。お仕事頑張るアルヨ。｣の言葉を鵜呑みにし、放置していた。

毎日仕事後に電話かメールを必ずするようにはしているが、さすがの神楽もついに今日、ねをあげた。

｢…逢いたいヨ。

声だけじゃ、文字だけじゃ、沖田の温度に触れられないアルヨ。｣

いつも気丈な楽天家が、電話口で泣き出したのだ。

驚いた。

｢逢いたいんですかィ？｣と聞けば｢別にお前なんか逢わなくても平気アルヨ。｣などと返して来るような女が、今日は何故か泣いた。

｢逢いたい｣と言って泣いた。

俺は反射的に、

｢すぐ行くから。

すぐ逢いに行くから。｣

それだけ言って電話を切り、屯所を飛び出した。

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向かったのはいつもの公園。

待ち合わせ場所なんかいちいち言わなくたって、俺達には分かり合える唯一の場所。

息を切らしてたどり着くと、目と鼻を赤くした神楽が夜の冷たいベンチに腰掛けてうつ向いていた。

｢チャイナ!!｣

思わずそう叫び、入り口から脇目もふらず神楽の元へ駆けて行った。

気が付けば、神楽は俺の腕の中にいた。

｢…逢いたかったですぜィ、チャイナ。｣

そこまでの行動が意識する事なく自然な流れで進んでいた事に、俺自身が驚いた。

そうか。俺は神楽の為にここに来たんじゃない。

本当に逢いたかったのは、実は俺だったのだ。

神楽は夜風に冷えきったか細い手で俺の頬を挟み、

｢顔、いっぱい見せてヨ。｣

と、ポロポロと涙をこぼしながらジッと見つめた。

逢えなかった時間を隙間無く埋めるかのように、互いに見つめ合い、温度を感じ合った。

何をするでもなく、見つめ合うだけで、幸せで腹一杯になる。

今まで俺達、こんなに素直になった事があっただろうか。

これほど互いを必要だと感じた事があっただろうか。

｢もうこんな淋しい想い、俺も嫌ですぜィ。

仕事、仕事ってお前をほったらかしにして悪かったと思ってる。

だから神楽…

俺を…

俺を見捨てないで下せェ。｣

黙って涙を流していた神楽だったが、コートの袖で顔を拭い、パッと明るい表情になり、言った。

｢[神楽]って言ってくれたネ。

[チャイナ]じゃなくて、初めて[神楽]って言ってくれたアルネ。｣

その笑顔が【俺の大切な宝物】と気付き、他の誰にも触れさせないよう急いで唇を重ねた。

それを素直に受け止め、照れた神楽は、俺の胸に顔を埋めて言った。

｢クリスマスプレゼントは、【[総悟]のお休み】が欲しいアルヨ。｣

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