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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[65]10月10日(銀時)

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今日は１０月１０日。

俺の誕生日。

おめでとう、俺!!

ハッピーバースデートゥー俺!!

坂田家の主の誕生日だ。

家族から、それはそれは盛大に祝ってもらえる事だろうよ。

もぅ朝起きて寝室から出て来た途端、『おめでとう、銀ちゃ～ん!!』クラッカーがパーン！ケーキがドーン！ってな騒ぎヨ。

まいったね、こりゃ。

イイ歳してお誕生日会もねぇだろってなモンだが…まぁ、みんなが『祝ってあげたい』って言うんなら、別に祝われてやってもいいけどォ～？

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あ、なんか襖開けるだけなのに緊張する。

ここはやっぱり元気に『おはよー！』と飛び出るか？

いやいや、クールにスッと開けて大人の男を演出しておくべきだろう。

でもいつもと違う感じで出て行くと、｢はい、ボク期待してました｣みたいで変だよな。

じゃあいつもの感じで行こう…って、いつもどうやって開けてるっけ？

そんなのいちいち意識して開けないから分かんねェよォォォ!!

寝室で登場の仕方を模索していると、突然襖が勢いよく開いた。

｢あら、銀時起きてたの？おはよう。

お布団たたむからちょっとどいて。｣

華蓮は俺を押し退け、ツカツカと寝室へ入って行った。

…アレ？

『おめでとう、銀ちゃ～ん!!』クラッカーがパーン！ケーキがドーン！…は？

居間に出ると、神楽と新八は黙々と朝飯を食っていた。

｢あ、銀さんおはようございます。

早く食べないとお味噌汁冷めちゃいますよ。｣

食卓にはご飯と味噌汁と焼き魚が整然と並べられていた。

…アレ？

『おめでとう、銀ちゃ～ん!!』クラッカーがパーン！ケーキがドーン！…は？

…いやいや、俺ァ別に期待なんかしてないよ。

ほらアレじゃん。だって俺大人だしィ？

【銀魂】の主人公だしィ？

別に期待なんか…

…してもいいじゃん。年に一度だよ、誕生日って。

なのにこの普段となんら変わり無い雰囲気、何コレ!?

ねぇ、なんかこう…ちょっといつもと違う坂田家の演出を試みるとか…ねぇ、ねぇってばァァァ～!!

そんな俺の心の叫びをキャッチしたのか、神楽が突然箸を置いた。

｢そーいえば今日、銀ちゃんの誕生日だったネ。｣

神楽は押し入れから紙包みを取り出した。

｢お誕生日おめでとうアル。｣

手渡された紙包みは、あまり重くもないし、大きいものでもない。

しかし俺を想って用意しておいてくれたその心遣いが嬉しい！

｢おぅ…サンキュー。｣

なんで照れてんだ？俺。

ものすごく嬉しいのに素直に礼を言えないなんて、俺は中２か!?中２病なのか!?

みんなに促され、早速袋を開けてみた。

中身は…

デオドラント靴中敷き。

｢銀ちゃんの足、いっつも酸っぱい匂いがするアルヨ。

コレ入れて消臭するヨロシ。｣

｢あ…ありがとう。｣

なんだよ、コイツ毎日そんな事思ってたのかよ!!

チクショー。自分だって酢昆布ばっか食って酸っぱい匂いするクセに。

｢あぁ、僕からも。

銀さんお誕生日おめでとうございます。｣

今度は新八がスーパーのビニール袋を手渡してきた。

おいおい、仮にもプレゼントだろうよ。

ラッピングのひとつもしてもらっとけよ。

だからお前は新八なんだよ。

まぁいっけどさ…。

じゃあコレも開けてみますか。

中身は～っと…

ファブリーズ。

｢銀さんの使ったクッションや枕、最近匂いますよ。

使った後はコレをシュッシュしといて下さいね。｣

なんだよ！お前まで俺のこと臭いって思ってたのかよ!!

思春期のガキってのは何かにつけて保護者の事を｢臭い｣だの｢汚い｣だの言いたがる生き物だからな、まったく。

やはり俺の一番の理解者、全てを知り尽くした嫁さんのプレゼントがストライクに違いない。

コイツに期待しよう。

すると布団をたたみ終えた華蓮が、箱を手に寝室から出て来た。

｢銀時、お誕生日おめでとう。

これ、私の心からのプレゼントよ。｣

わあぁ、コレは期待出来る!!

センスの良いヤツの事だ、ブランド物とかかな？

それとも俺の大好物の甘い物とか…

仁丹。

お前もかァァァ～～ッッッ!!!!

しかも２ダース!!

しかも半分は梅仁丹!!

何、そのいらない御親切!!

そんなに臭いか!?

俺は足も頭も口ん中も、全～～部加齢臭プンプンかァァァ～～!?!?

チクショー、どいつもこいつも一家の主をバカにしやがって…。

しかし何故に今時フリスクではなく仁丹？

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