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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[62]１０月１１日

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昨晩銀時から手渡された婚姻届にサインし、判をついた。

ついに私も幸せになれる。

嬉しさと不安が入り雑じった複雑な気持ち故、今朝は寝不足気味だ。

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｢そうかそうか！

とうとう華蓮さんもお嫁に行くのか。

良かったなぁ…きっと奴なら幸せにしてくれるよ。｣

私の突然の報告に驚きながらも、局長はうっすら涙ぐんで喜んでくれた。

お役所へ届を提出する為の有給休暇も、快諾してくれた。

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お役所近くの神社前で、既に銀時が待ち構えていた。

｢うぉ～い、ちゃんと書いて来たか？｣

笑顔で手を振る彼に、私も手を振り返す。

あと100メートルも走れば彼にたどり着く。

気持ちが先行し、つい駆け足になる。

しかしその瞬間…

｢天誅ーーー!!!｣

男が私の横を風の如く走り抜けた。

何事かと考える間も無く、男は銀時目掛けて斬り掛かった。

全く予想だにしなかった出来事だけに、銀時も完全に無防備だった。

肩から腹にかけて真一文字に斬られた彼は、私の目の前で血溜まりに倒れ込んだ。

｢見損ないましたぞ、坂田殿。

攘夷志士である桂殿と繋がりがある身にも関わらず、幕府の犬・真選組と入籍するなどとは…全く遺憾ですぞ。｣

そう捨て台詞を残し、男は走り去った。

呆気にとられていた私だったがハッと我に還り、すぐさま救急車を手配した…

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銀時は大江戸総合病院に運び込まれた。

今私はオペ室前のベンチに腰掛け、彼の無事の生還を待っている。

本当なら今頃は届けも受理され、前職であるここへもご挨拶に来ているはずだった。

ところでさっきの男が吐いた台詞…

｢攘夷志士と繋がりがある｣

本当なのかしら。

もし本当だとすれば…

私達真選組は、職務上、攘夷志士活動を取り締まる役にある。

しかし結婚相手が攘夷活動に関わっているとなると…正直困る。

仕事と銀時

先程まで両方手に入るはずだったものを、天秤にかける事になる。

そんなの嫌だ。

銀時の容体の心配と悔しさに、涙が止まらない。

｢山田……華蓮さんですね。｣

うつ向いて考え込む私に、青年が声をかけて来た。

長い黒髪の、涼しい顔。

傍らには大きな宇宙生物…

｢……桂……!!｣

彼こそが、私達が日夜追っている攘夷志士達のヘッド、桂小太郎だ。

真選組隊士である私を前に臆する事なく側まで来ると、桂は深々と頭を下げた。そして床に頭を擦り付け、土下座した。

｢この度は、大変申し訳ない事を致しました。

銀時を…いや、坂田さんを傷付けたのは他でもない、私の部下です。｣

頭を上げる事なく彼は続ける。

｢今回の事は、部下の勘違いから起こった事でございます。

確かに私と坂田さんは幼馴染みであり、かつての攘夷戦争時代の仲間でもあります。

しかしその後も攘夷活動を続ける私とは違い、奴はすっかり足を洗い、私の誘いもむなしく、活動に加わる事は全くありませんでした。

現在もお付き合いはありますが、純粋に友達としてのものです。

銀時は攘夷活動には一切関わっておりません。

安心して御入籍なさって下さい。｣

それが本当なら心置き無く籍を入れられる。

しかし、当の銀時が目を覚まさない事には…

床に目をやると、もう桂と宇宙生物は姿を消していた。

敵ながら、何故か桂が嘘をついているとは思えなかった。

銀時と幼馴染みと言っていたからか。

とにかく今は銀時の回復しか考えられない。

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