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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[61]１０月１０日

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今日は１０月１０日。

昔なら[体育の日]だった。

そしてもう一つ。

銀時の誕生日だ。

昔の銀時は単純で子供っぽくて、考えている事が何でも手に取るように分かったが、今は違う。

お互いに年齢も重ねた良い大人だ。

考える事もどんどん複雑化している。

何かプレゼントしたいけど、何が欲しいのかさっぱり予測がつかない。

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まぁ、私と銀時の仲だ。
ぶっちゃけ本人に聞いてみるなんてのもアリかな…

電話をかけてみようとケータイを手にした時、タイミング良く着メロが鳴った。

画面には

【銀時】

とある。

ボタンを押すと、いつもの声がした。

｢あ、オレですけど～。

何でか知らねーけど、お前宛てと思われる荷物がうちに届いてんぞー。｣

私宛てと“思われる”…？

｢住所がオレんちで、宛名が[坂田華蓮様]になってる。｣

何ソレ!?
誰からよソレ!!

｢坂本辰馬からなんだけど…デカ過ぎて正直邪魔くさいんだわ。

早いとこどかしに来てくんない？｣

坂本さんから私に荷物って何だろうな。

今日は銀時の誕生日なんだから、私でなく銀時に何かあげればいいのに。

とりあえずは仕事が済んでから行くと伝え、ケータイを切った。

でも実は、今日は非番。

寮の台所を借りて、バースデーケーキを作っている。

・―・―・―・―・―・

夜。

予想以上に上手く出来たケーキを携え、万事屋へ行った。

部屋では新八君と神楽ちゃんがジュースやビールを用意して、待ち構えていた。

｢華蓮ちゃん遅いアル！

銀ちゃんも私も新八も、お誕生会の準備、とっくに出来てるネ。｣

そう言いながら神楽ちゃんは、私の手からケーキの箱を取り上げ、中身をテーブルに出した。

白い生クリームにイチゴをふんだんにのせた、銀時好みのバースデーケーキがお目見えすると、｢わぁ｣と声が上がり、一同目を丸くして注目した。

｢さぁ、切り分けてみんなで食べましょう!｣

・―・―・―・―・―・

｢あ、そうだ。

華蓮さん宛てに来た荷物、あれ開けなくていいんですか？｣

半ホール食べたところで新八君が突然思い出した。

新八君が指差す方向を見ると、縦･横･高さがそれぞれ１メートルはあるかというサイズの箱が、部屋の角に据えてあった。

｢華蓮さん、一応お知らせしときます。

以前にも坂本さんからこんな荷物が届いた事があるんですけど、

その時の中身は……｣

そこまで言って口ごもっている新八君の代わりに、神楽ちゃんが代弁した。

｢大工のちっさいオッサン２人だったアルよ。｣

｢ウンケイとカイケイだっけ？｣

クリームを口のまわりいっぱいに付けた銀時も口添える。

エェェェ～!!
いらないよ、ちっさいオッサンなんか!!

｢早く開けないと、オッサンが中で腐ってるかもしんねーぞ。｣

そりゃ困る。

みんなが見守る中、私は恐る恐る蓋を開けた。

すると中からは…

白くて

ふわふわした

レースいっぱいの

シルク生地の

ウェディングドレス。

それを持って立ち上がり、箱から出すと、床にポトリと手紙が落ちた。

坂本さんからである。

『金時･華蓮さんへ

結婚おめでとう!!

これは養蚕が盛んな星で仕入れたドレスです。

結婚式の際に着て下さい。

なんかこんなの友達に送るって、照れるね(笑)』

………

｢オレらが結婚したって、一体どこ情報だコラァァァ～!!!

早ぇーよ、光速並みに気が早ぇーよ!!｣

銀時がフォークを持って、手紙の主にキレた。

・―・―・―・―・―・

新八君は銀時に、お通ちゃんの新曲のＣＤをプレゼントした。

神楽ちゃんは、手作りの[卵かけごはん･卵２個になる券]をあげた。

私は後日あげる事にした。

・―・―・―・―・―・

深夜、お誕生会の片付けを済ませ帰ろうとすると、珍しく銀時が｢送る。｣と言ってくれた。

いつもなら深夜だろうといつだろうと放ったらかしなのに、今日は機嫌が良いらしい。

｢ねぇ、銀時。

お誕生日プレゼント、何が欲しい？｣

昼間聞けなかった質問をしてみる。

銀時は間髪入れず答えた。

｢お前のサインが欲しい。｣

サイン？

最近メディアに出没するせいで街行く人にサインをねだられる事はあるが、何でコイツが欲しがるんだ？

銀時の事だ、また一儲けしようとか企んでるんじゃ…

｢コレにサインしといて。｣

銀時が懐から取り出し、手渡した物は…

茶色い紙。

【婚姻届】

と書いてある。

既に[坂田銀時]と記入済みだ。

｢籍入れても、仕事続ければいいじゃん。

このまま待っててババァになっちまったらコトだろーよ。

オレもジジィになってからはヤだし。｣

突然の申し出に驚くあまり、言葉が出なくなってしまった。

｢今ならあのドレス似合うんじゃねーの。

ギリギリな。｣
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