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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[54]８月１日(新八)

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万事屋に来るにしてはなかなか立派な出で立ちの紳士が、仕事の依頼にやってきた。

差し出された名刺には『Ｎ響楽団　団長』とある。

Ｎ響っていったら、天下の【ＮＨＫ交響楽団】の事だよね!?

そんな大層な方々が僕らなんかに一体何の用があるんだか…。

｢私の楽団の者が数名夏風邪で寝込んでしまい、ステージが成り立たなくなってしまいました。

私達の演奏を楽しみに来て下さるお客様が沢山いらっしゃるというのに…このままではステージを中止しなければなりません。｣

団長は涙ぐんでズボンの膝を握りしめている。

｢どうか万事屋さん、ドラムとギターとキーボードの出来る方を派遣していただけないでしょうか!?｣

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｢バカ、新八。オメェそこは…

♪トトトントントントンズンドッシャ～ン！

だろうが。

ドラムのクセにリズム感ねぇな～、まったくゥ！｣

｢そうアルヨ。

だから新八は『駄メガネ』ネ。｣

結局楽器が出来る人が見付からず、しかたないので僕らで練習してオーケストラに潜り込もうという事になった。

銀さんは三味線が弾けるのでギター、神楽ちゃんは｢女の子っぽいから｣という理由でキーボード、そして僕は余り物のドラムを担当する事になり、今みんなで一生懸命練習しているところだ。

｢あれ？神楽ちゃん。

今弾いたところ、シはフラットじゃないよ。

楽譜よく見てごらんよ。｣

｢うっせーな、駄メガネのクセに。

アタイはフラットになんかしてないアルヨ！

オメェがフラフラしてっからフラットに聞こえたに違いないネ!!｣

｢そーだよ。

♪ズンドッシャ～ン！

も出来ねェクセに生意気言ってんじゃねーよ、地味ん党党首が！｣

慣れない楽器の練習に疲れてきたのか、だんだんとみんなの心がささくれ立ってきた。

言葉もトゲトゲしくなり、とても音楽を奏でる環境ではない。

｢ちょっと休憩にしませんか。

僕お茶煎れますから。｣

目を三角にして楽譜を睨む二人に声を掛け、僕は台所へ立った。

冷蔵庫の麦茶を取り出し、氷の入ったグラスになみなみと注いでソファーに戻ると、二人は団長さんが置いていったチラシに見入っていた。

｢しかしスゴイですよねー。

まさかこの僕らが、あのＮＨＫ交響楽団に一時的にでも加入出来るなんて。

何だか夢のようですよ！｣

それぞれの前にお茶を差し出すと、銀さんがチラシを僕の方に向け、言った。

｢…ホンット、夢のようですよ、新八クン。

この楽団の名前とコンサートの場所、見てみな。

あまりのありえなさに俺、泣いちゃったよマジで。｣

手渡されたチラシを目を凝らし、しっかりと読んでみた。

『日光猿交響楽団コンサート

場所：○○公民館』

日光猿交響楽団…

ＮＩＫＫＯＵ猿交響楽団…

Ｎ響楽団…

バンザーイ!!

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