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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[54]９月５日

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｢大変です、華蓮さん!!｣

出勤前だというのに、早朝から山崎がケイタイに電話をかけて来た。

｢局長が…

局長が菜々美さんの罠に…!!｣

えっ、もう局長まで!?

速い。速すぎる。

菜々美が来てから、まだ一週間と経ってない。

それなのに…。

胸の動悸と震える手を落ち着けようと、静かに話す。

｢…確証はあるの？｣

山崎は泣きそうな声で言った。

｢首に…赤黒いアザが…｣

やってくれたな、菜々美。

土方さんや総悟君のように黙っていてもモテる人より、女性に縁遠そうな局長の方が簡単に落ちる…との判断か。

悔しいけどその読み、強ち間違っちゃいないようね。

｢…分かった。出来るだけ早く屯所に出勤するわ。

その間、菜々美から目を離さないで。｣

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身支度をし急いで屯所へ出向いた。

みんなへの挨拶もそこそこに山崎の元へ急がねばと廊下を走っていると、副長室の襖が開いた。

中から出て来たのは

菜々美と土方さんだった。

菜々美は引きつる私を見て、ニヤリと口角を上げた。

｢おはようございます、華蓮女子隊長サン｣

かわいい口振りとは対照的な目の奥に渦巻く黒い物に、背筋がゾクリと凍る。

このままでは女子隊士(娘たち)はおろか、真選組ごと乗っ取られる!!

・―・―・―・―・―・

日中、菜々美は仕事をそれなりにやっている。

ただし、その傍らで私の目を盗んではあちこちで隊士達の人気票集めに勤しんでいるらしいが…。

彼女が真選組女子隊長を任せられるだけ力量があるのなら、喜んで委ねよう。

しかし彼女の真の目的は『華蓮のものが欲しい』というだけであり、本当に『女子隊長になりたい』などとはこれっぽっちも思っちゃいないのだ。

そんな生半可な覚悟の奴に任せたら、結果は見えている。

私の元彼と同じ。

役に就かせたとたんに…ポイ。

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