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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[53]９月２日

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早々に菜々美の侵食は始まっていた。

出勤して初めに目にしたものは、女子隊士全員お揃いの髪飾りだった。

｢あ、隊長おはようございます！

この髪飾り、菜々美さんがお近づきの印に…って、みんなにくれたんですよ。｣

よく見たら、これは婦羅駄のものではないか。

お金持ちのお嬢様だからこれくらいは屁でもないのだろうが、ブランド物を配ってまで人気を集めたいのか。

｢菜々美さんってかわいいし、優しいし、ナイスバディだし…言う事ナシだよなぁ。｣

廊下から男子隊士達の声がする。

｢オレが調べてた放火事件の事も、『たまたま情報を仕入れたから…』とかって資料揃えてくれたんだぜ。｣

｢あ、オレなんか刀の手入れしてもらっちゃったよ。『大事にしなくちゃね』だってさぁ！｣

｢あ～あんな人が彼女だったら幸せだろうなぁ。｣

でも彼女にした途端ポイされるという痛い目を見るぞ。

私の元彼もそうだった。

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あの女の身辺調査を山崎にさせよう。

あの女を好き勝手に泳がせていたら、真選組はいずれ確実に潰される。

山崎を部屋に呼んだ。

｢たぶん僕、呼ばれると思ってました。

菜々美さんの事でしょう？｣

正解。よく出来ました。

｢実は僕も気になってたんです。

入隊する時期も不自然だし、華蓮さんと親友っていう割にはあまり華蓮さんは嬉しそうじゃなかった…。｣

さすが隠密だけあって、人間に対する洞察力は鋭い。

｢それと…

昨日入隊したばかりなのに、早速末端の男子隊士が…

食べられちゃったみたいです。｣

えぇ～!!もう男子隊士に手を出したの!?

昔から手は早い女だったけど、ちょっと会わないうちにさらに速度を増している。

｢そいつはもう菜々美さんにメロメロで、すっかり彼女のパシりです。｣

あんたは私と寝てないけどパシりだよね。

｢とにかく男女問わず粉をかけて回り、自分の配下に収めようとしているのは確実です。

今のうちに何とかしないと、次は隊士だけでなく、沖田さんや副長、局長にまで毒牙が…!!

僕はあんな女の下でなんか働きたくありません。

華蓮さんに代わる女子隊長なんていないと思っています。

だから、だから…｣

｢分かった。

報告ありがとう、山崎。｣

既にものすごいスピードで菜々美の計画は進んでいるようだ。

こうしている今も、皆の信頼と人気を集めようと躍起になっているに違いない。

私は負けない。

私はこれまでブランド物や肉弾なんかには負けない、強い絆を築いて来たと自負している。

悪いわね、菜々美。

あなたに今まで色々なものをネコババされて来たけど、もう泣き寝入りなんかしたくない。

ヤクザに肩撃ち抜かれて昏睡状態になって、死の縁から甦った時、銀時と約束したんだから。

【守りたいもん守って、

守り抜いて、

腹一杯になったら

銀時の元へ嫁(い)く】

って。

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｢局長ｫ～、もう寝ちゃいましたぁ？

菜々美、なんだか今夜は眠れないんですぅ～｣

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