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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[52]７月１４日(土方)

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もうすぐ寺子屋は夏休みに入る。

街中にガキが溢れかえり、例年その分だけ事故や犯罪も増える。

それを危惧した子供好きの近藤さんが、今朝突然隊士全員を集合させ、

｢みんな、【夏休みこどもを守ろうキャンペーン】をやろう！｣

と言い出した。

自分なりに考え、｢我ながら名案！｣ぐらいに思っているのだろうが、さして珍しいアイデアでもないのが悲しいところだ。

しかし大将の言う事は絶対だ。

俺は隊士全員の先頭きってキャンペーンを遂行しようと心に決めた。

・―・―・―・―・―・

｢う～ん、やっぱまずはこのキャンペーンのＰＲだよな。

街の人達に浸透させなきゃ。｣

そう話しながら、近藤さんの手は倉庫の中を探っている。

｢えーっと確かここら辺に…

あったあった！｣

手当たり次第探っていた為ガラガラと物品が崩れ落ちたが、近藤さんは何食わぬ顔で話しを続けた。

｢コレ、前に使った画用紙の残り。

コレに絵を描いて、ポスターにしようよ！｣

ポスター…

そんなダセェもん、誰が描くんだよ。

悪いが俺ァゴメンだぜ。

｢そうだなァ…やっぱ華蓮さんがいいかな。

ホラあの人、武術も料理も勉強も何でも出来るじゃん。

だから絵も上手いはずだよ、きっと！｣

そういうモンか？

まぁ俺が描く事にならなかったんだからいいんだけど…。

・―・―・―・―・―・

早速ポスター描きのオファーの為、女子隊長室へ赴いた。

市中見廻りから帰って来たばかりの華蓮は、タオルで首や顔の汗を拭いている。

俺は白い四つ切り画用紙と、同じ場所から発掘された色マジックを彼女の前に無造作に差し出した。

｢局長命令だ。

今朝言ってた【夏休みこどもを守ろうキャンペーン】のポスターを描けってさ。｣

やはりこれは近藤さんの言う通り、華蓮が適役だろう。

コイツなら大概の事は簡単にやってのけるはずだ。

しかし意外にも華蓮は苦い顔をし、何か言いかけたので、

｢武士にとって大将の命令は絶対だぞ。

『士道に背くまじき事、これを犯した者切腹』

…局中法度だ。

分かってるよな、女子隊長。｣

遮るように言い放ってやった。

華蓮はうつ向いて、畳の上の画用紙とマジックをじっと眺めていた。

・―・―・―・―・―・

数時間後、部屋に引きこもってポスターを描き上げた華蓮が、ひっつめ髪のやつれた表情で俺と近藤さんの前に現れた。

その手には画用紙が握られており、【夏休みこどもを守ろうキャンペーン】という文字と、色とりどりに描かれたイラストが全面に広がっていた。

｢おぉ華蓮さん、ご苦労さんだったな。

どれ、早速見せてもら…｣

画用紙を受け取り、改めて目を通した近藤さんと俺は、言葉を失った。

えーっとコレは…

地獄絵巻？

華蓮も下を向いて黙っている。

｢わ…わあぁ、ステキだなァ！

カラフルで、街ゆく人々の目にも止まりやすくてイイ感じだよ～、ウン。

とくにこのクマさん、かわいいよねェ～！｣

｢…それ、ウサギです。｣

絵の下手さをフォローしたつもりの近藤さんだったが、地雷を踏んでしまったようだ。

｢あ、イヤその…え～っと…

あ、コレ！このデッカイ綿菓子なんか、子供が喜びそうで…｣

｢…それ、うちの定春です。｣

しまった！

地雷はウサギだけじゃなかったか!!

｢あ、あ、あの…

このチョコレート…｣

｢…カブトムシ。｣

あ～もう画用紙の上は地雷原じゃねぇか!!

まさか文武両道・良妻賢母を絵に描いたような女が、クマともウサギとも区別出来ないような絵しか描けないなどと誰が予測しただろうか。

なるほど、それでやりたくなさそうだった訳だな。

近藤さんも華蓮も、向かい合ったままうつ向いて沈黙している

二人して泣き出すのも時間の問題だろう、

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