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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[52]９月１日

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｢華蓮さん、

松平のとっつぁんからの頼みで、一人ほど中途採用で女子隊士を入れてくれないかって。

どうやらとっつぁんの知り合いの娘さんらしくて、剣術に長けてるんだって。｣

松平氏のコネか…。

私の目で判断してから入隊してもらいたかったが、まぁ松平氏にも断われない事情がおありなのだろう。

しかし次の局長の言葉を聞き、私は気を失うかと思った。

｢聞いたら驚くよ～。

名前は霧島菜々美さん！
華蓮さんの昔のお友達なんだってね。｣

・―・―・―・―・―・

菜々美は看護学校時代の同級生で、ビスクドールのようなかわいい顔立ち、背丈は小さくグラマラスな身体つき、そしてお金持ちのお嬢様…と、私とは正反対の女だ。

しかし昔から何故かいつも私のものを欲しがるクセがある。

今までに彼女に横取りされたものは…

◎大病院の就職内定(コネを使われた)

◎すごく欲しかった類･美豚の新作バッグ(買うために一生懸命お金を貯めていたのに、先に買われた)

◎学校に提出するレポート(コピーさせてやったらそのまま丸々書き写して私より先に提出しやがって、私が盗作したみたいになった)

◎彼氏(寝取られた)

等々…

その菜々美がまさかこんなところまで押し掛けて来るなどとは思いもしなかった。

今度は私の何が欲しいの？

犯人逮捕の名誉？

真選組女子隊長の座？

それとも…

・―・―・―・―・―・

午後、奴がやって来た。

自家用車の白いリムジンに乗り、運転手付きである。

局長室に真選組全員を集合させ、菜々美を紹介する事になった。

｢霧島菜々美です！

え～っと、趣味はお菓子作り…かな。てへっ｣

上目遣いの｢てへっ｣は、昔からあの女の得意技だ。
あのルックスでこれをやられたら、男なんてひとたまりもない。

ちなみに｢趣味はお菓子作り｣だが、ホットケーキしか焼けない。

中まで火が通っておらず、｢カスタードクリーム入り？｣と男に聞かれたという武勇伝を持つ。

｢華蓮ちゃんは私の親友です。

みんな、よろしくね｣

え、親友？いつから？

・―・―・―・―・―・

菜々美を女子隊長室に呼ぶ。

先程までブリブリのかわいいオーラ全開だった菜々美だが、私と二人きりになった途端口角が下がり、流し目でこちらを睨み付けて来た。

これがこの女の本性だ。

｢久しぶり、華蓮。

メディアに乗っかるようになったり、女性の憧れの存在として話しにのぼったり…女子隊長生活も上々のようね。｣

｢……｣

｢さっきも局長とかいうゴリラ男とチンピラみたいなしゃべり方の土方って人と話したけど、ず～っとアンタの自慢ばっか。

は～ヤダヤダ。｣

何が言いたいのか。

｢やぁ～だ、そんな怖い顔しないでよぉ。

もしかしてまだ彼氏を貰っちゃった事とか怒ってる？

もぉガキじゃないんだから、そんな事しないわよぉ。

今回で終わりにするから｣

｢今回で｣だとｫｫｫ

｢私、真選組の女子隊長になってみたいんだぁ～。

だからごめんね、華蓮｣
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