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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[51]７月７日(神楽)

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｢おーい神楽ちゃん、下に降りてみなよー。｣

新八が呼んでいる。

階段の上からのぞいて見ると、一階にある【スナックお登勢】の玄関先に背の高い笹が立ててあった。

｢今日は七夕だよー。

神楽ちゃんも短冊にお願い事書きなよー。｣

新八が、私に向かって色紙をピラピラと振って見せた。

・―・―・―・―・―・

私はまだあまり字が書けない。

[ま]と[ほ]を間違えたり、[さ]と[き]が反対向きになったり、[ソ]と[リ]と[ン]と[ツ]と[シ]がこんがらがったりする。

だから新八が心配して｢僕が短冊書いてあげようか｣なんて言って来たけど、やっぱり自分で書く事にしたネ。

きっと一生懸命自分の字で書かないと、お願い事が叶わないアルヨ。

お登勢さんのお店のカウンターに置いてある箱に、短冊とペンがある。

私は大好きな赤い色紙と白いペンを選んだ。

えっと、えっと…

あれ？[す]ってどっち向きにクルンッてするんだっけ？

[ん]はどこまでニョロニョロのばせばいいのかな？

あ、この字の大きさじゃあ名前がはみ出るアルヨ！

私のぎこちない手つきに、横にいる新八が手を出そうか出すまいか迷っている。

でもそうこうしているうちにどうにか書き上がった。

私の今年のお願い事は…

『すこんぶよこせ』

・―・―・―・―・―・

外に出て、さっきの大きな竹の前に立った。

竹のてっぺんを見上げると、夏の到来を知らせるかのようなまばゆい太陽に目が開けられなかった。

私の短冊を新八に手渡すと、凧糸で手際よくくくりつけてくれた。

青々と繁った葉と色とりどりの短冊が夏の風に揺れて、カサカサと音を奏でている。

｢みんなは何て書いたのかな。｣

新八はまず水色の色紙を手に取った。

『マヨネーズ　　土方十四郎』

｢…主語しか書いてねーじゃねーかよ。｣

マヨネーズをどうして欲しいんだか、さっぱり分からないアルネ。

次にピンクの色紙をめくった。

『お妙さんと結婚出来ますように　　近藤勲』

新八は黙って色紙を引き裂いた。

次は黄色。

『ゴリラがこの世から絶滅しますように　　志村妙』

ゴリラストーカーがそこまで嫌だったアルか…。

今度は緑色。

『寺門通新曲ミリオンヒット!!　　志村新八』

駄目アルね。どーせ駄メガネの地味なお願いなんて、神様も面倒臭がって聞いてくれないアルヨ

白い紙は…

『土方どっかいけ　　沖田総悟』

テメー相変わらずガキだな、ガキ！

ガキは母ちゃんの乳でもしゃぶってな!!

最後に、少し高い位置にオレンジの色紙があったのでつま先立ちして覗き込んだ。

そこには

『子宝が授かりますように　　坂田銀時華蓮』

と、太いマジックで大きく書いてあった。

｢新八、肩車するヨロシ。｣

オレンジの短冊の糸を外し、一番高い場所にくくりつけた。

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