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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[50]８月３０日

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陽もすっかり沈み、外では鈴虫の鳴く声がする。

｢華蓮さん、失礼します。｣

月末の書類整理で残業中の私の部屋に、来客があった。

伊東さんだ。

｢まだ仕事していたんですか。酷いなぁ、ここの上司達は。

女性にこんな時間まで残業させるなんて…

いくら男女平等参画時代だからといっても、やはり女性を遅くまで職場に残すべきではない。｣

おぉ、さすがインテリ。
言う事が違うわ。

｢どれ、手伝いましょう。
見せてごらんなさい…｣

そう言うと、私の背後から肩越しに書類を取ろうとした。

明らかに身体が触れる形になるので反射的に避けようとすると、耳元に息を吹き掛けられた。

｢…!!

…ちょっ…何するんですか。

ここ職場ですよ！！｣

伊東はニヤリと口角を上げ、また耳元に近付き、囁いた。

｢…感じたクセに。｣

当たり前だ!!

こんな個室でそんな卑怯なテを使えば誰だって感じるわ!!

｢僕はあなたに一目惚れしたんです。

僕は他の隊士達と違って、あんな野蛮な生き物ではない。

洗練されたあなたには、僕のようなスマートに生きている人間が相応しいのですよ。

…屯所、出ませんか。｣

口説かれている。

でもこんなやり方は好みではない。

｢悪いけど他当たって下さる？

私、結婚を約束した男がいるの。

…あ、でもうちの女子隊士には手出さないでね。｣

なんと地に足のついた男だろう。
こんなセリフぐらいじゃびくともしない。

お互い仕事をしていく上でシコリを残したくないので、その場から立ち去ろうと腰を上げた。

その瞬間、伊東が私を引き寄せ、くちづけしようとした。

顔をそらしたので口には触れなかったが、首筋を舐められた。

｢やっ…やめてよ!!｣

許せない!!

バカにするな!!

何が男女平等参画だ。

お前が一番女をバカにしているじゃないか！

お前が一番野蛮じゃないか！！

同じ釜の飯を食う隊士だが、この場合は致し方ない。
悪いのはコイツだ。

私は伊東の股間を蹴り上げ、相手がひるんだ隙に後頸部を叩き、気を失わせた。

｢どうした、華蓮!?｣

伊東の悲鳴を聞いた隊士数名と、土方さんが部屋に駆けつけてくれた。

｢…別にぃ。｣

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