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《完結》負けない!!負け犬【２】～みんなの日記～

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[49]６月２５日(華蓮)

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かよ姫からメールが来た。

『京へ嫁ぐ事になった。』

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あの【ブランド対決】をきっかけにかよ姫は私を気に入ってくださったようで、しよっちゅうメールが届く。

ブランド物の新作情報、公務の難儀、そよ姫との姉妹喧嘩、そして…

密かに慕う男性の事。

高貴な立場故、自由な恋愛など御法度なのだが、彼女は密かに恋をしているのだ。

お相手は家臣である竹内順之助殿。

身分違いの恋故に、相手に想いを伝える機会など永遠に来ない、切なく清らかな恋。

廊下で立ち話をした、たまたま手が触れた、着物をほめてくれた…

今どき中学生でももっとマシな恋愛をしているだろうこの御時世に、こんなつまらない事で喜んではメールをして来る。

実にくだらなく、実に幼い、そして実に純粋な恋をしているのだ。

そのかよ姫が京都へ嫁ぐ…。

彼女の想いを知る私の心中は、ざわついた。

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局長室へ呼び出された。

近藤さん・土方さん・総悟くん・私と、いつもの四役が出揃った形となる。

メンバーが集まった事を確認すると、局長が畳に一枚の手紙を広げた。

将軍様からのものだった。

｢将軍様の妹君・かよ姫がご結婚なさるそうだ。

華蓮さんは知っていたのかな、この事。｣

彼女の複雑な心境を心得ている私は、黙って頷いた。

｢…その様子じゃあ知ってるんだね。

竹内殿の事も。｣

表情を変えず、再度頷いた。

｢そうか。

かよ姫は華蓮さんだけには心を開いていたらしいからな。｣

局長はいずまいを正し、咳払いをして話しを続けた。

｢この手紙を要約すると、こういう事だ。

『京に嫁ぐ前に、人知れず一夜限りの逢瀬を実現させてやって欲しい』

…と。

つまり互いに想いを寄せ合う身分違いの二人に、せめて一晩だけでも恋を成就させてやりたい…という親心ならぬ兄心というわけさ。｣

兄上である将軍様は、妹君の切ない想いを知っていたのだ。

しかもお相手の竹内殿もかよ姫を想っていたとは！

互いに愛し合う二人なのに、しきたりという現実がそれを許さない。

生まれた場所と立場で全てが決まる。

それが城に住まう者の掟なのだ。

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夜遅くまでかかり、かよ姫と竹内殿の為に四人で綿密な計画を練った。

地方の温泉旅館を貸し切りにし、[一般人]として二人を送り込む。

私達真選組は、かよ姫のお忍び外出が漏洩せぬよう、また大切な夜に水を差さぬよう、朝二人が別れを告げる時まで命懸けの警護にあたる。

……

良いのだろうか。

これで本当に良いのだろうか。

本当にかよ姫はこのたった一夜によって彼への想いを裁ち切れるのだろうか。

いや、彼と両想いである事を確認し、むしろ想いを増長させてしまうのではないだろうか。

そうなれば逆に彼女を悲しませる事になる。

でも将軍様からの依頼とあらば、この幕府の犬・真選組は首を縦に振る以外にない。

ごめんなさい、ごめんなさいかよ姫…。

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