†*†*†*†*†*†*†*†*

《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

†*†*†*†*†*†*†*†*

[45]８月３日

†*†*†*†*†*†*†*†*

銀時の助手(お世話？)をしてくれている新八君は、アイドルの寺門通ちゃんの大ファン。

親衛隊まで作っちゃう熱狂振りだ。

そんな新八君からこんな情報を入手した。

｢僕、お通ちゃんグッズを買う為に時々アキバへ行くんですけど、最近、華蓮さんグッズが沢山出回ってるのをよく見掛けますよ。

真選組の衣装も売ってて、コスプレしてる人なんかもいました。｣

何それ！？
当の本人の知らない所でビッグマネーが動いているというのか！？！？

これは真相を確かめなくてはならない。

…という事で、今日は非番なのでアキバに来てみた。

このところ雑誌の取材等でメディアに露出する事が増えた為、私の顔も世間に知られるようになってしまった。

だから本物がアキバにいるとエライ騒ぎになりそうなので、普段はコンタクトレンズだが、バレないように今日は眼鏡で来た。

まずは新八君から聞いたコスプレ専門店に入った。

店内は衣装だけでなく、ウィッグや小物まで沢山揃えてある。

コスプレ専門店と言われもっとヘンテコな世界を想像していたが、思っていた以上にライトな感覚だ。

しばらく眺めていると、私の知らないキャラクターの衣装達に紛れ、真選組の隊服も並んでいた。

こ…これは…とても巧みに出来ている！！
ここまで精巧に作られているとは、本物の隊士である私も正直ビックラこきまろだ。

洗い替えに購入しようかと思う程だ。

店を出て街を歩く。

歩行者天国には様々なキャラになりきったコスプレイヤーがあちこちでパフォーマンスを行っている。

俗世間から離れた異空間では、このような景色が広がっていたのか。
テレビで見ていたものが実写化されたみたいで、もちろんコスプレイヤー自身も楽しいだろうが、見ている私もワクワクしてきた。

そろそろお腹空いたな。
どっかでお昼食べよっと。

どこか適当なお店が無いかしら…とキョロキョロしていると、ヒラヒラのかわいいメイド服の女の子がチラシを配りに来た。

チラシには【コスプレ喫茶】とある。

どうやらコスプレした女の子達が接客してくれる喫茶店のようだ。

あっ、コスプレの種類も書いてある。
え～っと、メイドさんに巫女さん、戦士にナースにセーラー服に……

真選組！！！！！！

こりゃ行ってみなくちゃ。

｢お帰りなさいませ、御主人様♪｣

ピンクのメイド服の女の子が入り口で出迎えてくれた。
頭に猫の耳が付いててかわいいなぁ。

私もこういうヒラヒラを着てみたいけど、身長１７０㎝もあるからニューハーフみたいになるんだよな…。

｢ご指名はありますか？｣

メイドさんが店員の一覧表をみせてくれた。

それぞれ店員に名前が付いていて、自分の好みで指名出来るシステムらしい。

私はどの娘にしようか……

な……

え？

『真選組・女子隊長』

…って、コレ私！？

何か勝手に店員にされてるんですけど！！

どういう事！？

これは自分自身の目で確かめなくちゃ。

｢し…真選組女子隊長お願いします…。｣

なんか自分で自分を指名って、複雑な気分だ…。

席に案内され、しばらく座って待っていると…

来た。

｢真選組女子隊長、山田華蓮だ。よろしく。｣

来た！しかも名乗っちゃったよ、コレ。『山田華蓮』って名乗っちゃったよ。

あんまり背の高くない、かわいい系な顔の『山田華蓮』だ。
もちろん胸ポケットにはキラキラコンコルド、腰には刀が…。

｢御用改めである。いざ神妙にメニューを選びな。｣

…え～…
私って世間ではこういうイメージなのかしら。

宝塚の役者さんみたい。

｢じゃあオムライスとステーキを…｣

・―・―・―・―・―・

｢待たせたわね。
さぁ食べなさい。

食べないと逮捕するわよ。｣

侮辱罪でお前を逮捕してやろうか。

オムライスにはケチャップで『ごよう』と書いてある。

なんでやねん。

｢ではステーキを切ってやろう。｣

あら、気が利くじゃない。

…って、何あんた刀抜いてんの！？

まさか、まさかよね。その刀でステーキを…

切ったーーー！！

刀本来の使用法完全無視ーーー！！

｢一口サイズにしておいたわよ。｣

そりゃどうも…。

一応、一応ね。聞くだけ聞いてみようか。

｢その刀のお銘は？｣

｢【百華】に決まってるじゃない。｣

…ですよね～…。

†*†*†*†*†*†*†*†*
[前㌻] [次㌻] ［*］ﾎﾞﾀﾝで前㌻
［#］ﾎﾞﾀﾝで次㌻ †*†*†*†*†*†*†*†*
[←戻る] †*†*†*†*†*†*†*†*
†*†*†*†*†*†*†*†*